年上の友人
筆者にも、ジュールズにとってのベンのような存在の、Oさんという年上の男性の友人がいます。
前職でとてもお世話になった外部のデザイナーで、彼は僕を年齢で差別も区別もしませんでした。
彼から見れば、親子ほども年の離れたクライアント。しかも彼にセクシュアルマイノリティだとカムアウトをしたのは退職を間近に控えたころだったので、彼にとっての僕は女性です。
配属されたばかりのころは、年上ばかりのチームでひとりクライアントとして振舞うことに緊張していたし、年上の男性たちは社会人2年目の女性である僕の未熟さをどう思うかとても不安でした。
まさしく、「自分の親と同年代の人たちはきっと未熟な子ども扱いしてくるだろう」と、そう思っていたのです。
しかしOさんからは、初対面のときからこれまで一度も「まだ若いから未熟」という扱いをされませんでした。
上司から伝えるよう言われた無理な要望の伝言ゲームも、僕自身の意見に対しても平等に耳を貸してくれました。
前職は過酷な職場だったので、仕事の合間にもよく愚痴や考えていることも聞いてもらっていました。仕事にも仕事仲間にも、真摯に向き合ってくれる信頼できるデザイナーです。
20代で当時50代の男性と対等な立場で話を聞いてもらい、同じように自分も話を聞きたいと思える関係性を恋愛感情抜きに築けたことはとても幸運なことだったと思います。
20代の前半、父親との関係に悩んでいた僕が父と向き合おうと思えるようになり、現在良好な関係を築くまでになれた要因のひとつはOさんの存在もありました。
父と同世代のOさんが耳を傾けてくれたことで、父に対しても耳を傾けてくれるかもしれないと思えるようになったのです。
実際、父が聞く耳を持っている人だと知ったのは、父とたくさん話すようになってからでした。
なので、Oさんには前職でお世話になったことを含めてとても感謝しています。
話してみることは、人間関係の基本
ベンに対してジュールズがそうだったように、話してみることは人間関係の基本であり重要なこと。
特に年齢による決めつけは、全く持たないことができなくても、そう思ってしまったときに立ち止まり、考えを改めることができるはず。
「若いからわからないだろう」と言われてきた若者世代も、いつかは「高齢だからわからないだろう」と言われるときが来るのです。
そう思われるようになったそのとき、高圧的な態度でやり返すのではなく、ベンをお手本に優しく親切に、そして柔らかな態度で向き合えるように歳を重ねていきたいもの。
『マイ・インターン』は仕事を大切に思う女性に、そして年齢で誰かを決めつけてしまったことのあるすべての人に観てもらいたい作品です。ぜひご覧ください。
- image by:PR TIMES
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