神戸メンタルサービスの平です。ヴィジョン心理学創始者のチャック・スペザーノ博士に師事。プロセスを重視した本格的なグループ・セラピーを開講し、20年以上セラピストとして働いてきました。
よくいただくご相談に、「彼がなかなか結婚を決めてくれない」というものがあります。
私の経験では、その多くは次の2つの理由のいずれかにあてはまることが多いようです。
彼がなかなか結婚を決めてくれないのはなぜ?
一つは、「このままの関係でいたい」というもの。特に同棲しているカップルに多いのですが、結婚することで得られるメリットのほとんどが一緒に暮らすことのため、すでに得られているときに起こりがち。
現在の生活で十分に満たされ、幸せなので、あえて籍を入れたりするリスクをとらず、このままでいいと思うわけです。
もう一つ、同じぐらい多いのが、彼の側に「結婚を躊躇する理由がある」という場合。
実は“隠れた借金”が躊躇する理由となっているケース、本当に多いんです…。
結婚するときは、新生活の準備資金、挙式・披露宴や新婚旅行の費用などなにかとお金がかかります。
そして、彼の財政状態が、ふだん彼女に言っていることと実際はだいぶ違うので、結婚に至れないというのがこのケースです。その気はあっても、ない袖は振れないということですね。
このケースで厄介なのは、2人の関係性のなかに隠しごとがある、正直なコミュニケーションができないという問題を併せ持っていること。
さらにこのケースでは、男性がよい格好をしようとするタイプだったり、見栄っ張りだったりするために、派手にお金を使っていることも少なくありません。
そのため、すごく金回りのいい人、お金持ちではないかと彼女のほうは思ったりするわけですが、実際のところはお金持ちどころか借金だらけだった…ということもよくあります。
別れるか、前向きに変えていくか
以前受けたご相談に、こういうものがありました。
「誕生日のプレゼントに靴がほしいと彼におねだりしたんですけど、買ってくれないんです」
お値段は、3万円ほど。自分で買ってもよかったのですが、誕生日だし、彼にプレゼントしてもらいたいなと思ったそうです。
ところが、買ってくれないものですから、「彼に愛がないからだ」と彼女は思ったわけですね。
そんな彼女に、私は言いました。
「それは、愛ではなく、お金がないからではないですか?」それを機に、彼の財政状態が明らかになっていったのです。
彼は、毎月の入ってくるお給料と支出の収支がいつもマイナスで、月2〜3万円の赤字というのがクセのようになっていました。で、そのマイナスを埋めるためのカードローンが100万円近くにのぼっていたのです。
そして、カードローンの利用可能枠が100万円で、そのギリギリまで利用していたため、これ以上借りることができなくなってしまっていました。
さて、このカップルがそのあとどうなったか…。
この件をきっかけに、2人はコミュニケーションを緊密にとるようになりました。
それにより、彼の見栄っ張りゆえの金遣いの荒さが改善されるとともに、着実に結婚に向かっていくための前向きな話し合いができたのです。
男女関係でなにかの問題が発生したとき、それが2人の別れの要因になることは少なくありません。
しかし、逆にそのことをきっかけに、ほんとうの問題があぶり出され、2人の関係をよりよいものに変えていくこともできます。
とくに借金の問題の場合、「もう、まったく!なにしてるの!」と彼を責めたりしがちですが、どれだけ責めても借金を減らすことはできません。
今回のようなご相談をよくよく見ていくと、心のなかにあるなんらかの不平不満やコンプレックスをお金で満たそうとして、借金がふくらむケースの多いこと、多いこと…。
できれば彼を責めるのではなく、その不平不満やコンプレックスにフォーカスをあててみてください。
そしてそれらを解消することができれば、借金の問題も解決し、2人の間に強い絆が生まれることもあります。
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