身体が放つニオイは内部状態を知らせる“メッセンジャー”

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昭和世代の僕にとっては、あの体育館での汗と汚れにまみれたマットのニオイや、個性的なニオイなどはごく自然でした。
確かに異臭は不愉快にもなる。しかし、人間なんてそもそも汚い部分が盛りだくさんで、生きている証が新陳代謝なのです。
人間の体から発するニオイは、決して不快なものとして一蹴されるべきではなく、自然発生的な現象として、僕らの生理機能と密接に結びついています。
特に、新陳代謝の過程で生じるこれらのニオイは、身体の健康状態を反映する重要なシグナルであり、進化的に見て、生存やコミュニケーションに役立ってきた側面もあるではありませんか。
新陳代謝とは、体内で絶え間なく行われる物質の分解と合成のプロセスを指します。
具体的には、食べ物から摂取した栄養素をエネルギーに変換する「異化作用」と、細胞の修復や成長に必要な物質を生成する「同化作用」の総称です。
この過程で、汗や皮脂、呼気、排泄物を通じてさまざまな揮発性化合物が排出され、それがニオイとして感知されます。
例えば、汗に含まれるアンモニアや脂肪酸は、皮膚表面の細菌によって分解され、独特の体臭を生み出す。
これらの臭いは、自然発生的なものであり、人間が生きる上で避けられない副産物です。
実際、古代の人類では、体臭が個体識別や性的魅力のシグナルとして機能していたと考えられており、現代の研究でも、フェロモン様物質が無意識下で他者に影響を与えることが明らかになっていることは事実です。

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さらに詳しく見てみると、新陳代謝の活発さは個人差が大きく、年齢、性別、食事、生活習慣によって臭いの質や強さが変わります。
若い世代では、ホルモンバランスの影響で皮脂分泌が増え、酸っぱい臭いが強くなる傾向がある一方で、高齢者では、代謝の低下により蓄積された老廃物が原因で、独特の「加齢臭」が発生します。
これらの臭いは、決して「汚い」ものではなく、身体の内部状態を外部に知らせる“メッセンジャー”なのです。
例えば、強いアンモニア臭は脱水症状や腎機能の低下を示唆し、甘酸っぱい臭いは糖尿病の兆候である可能性があります。
医療現場では、こうした自然な臭いを診断のヒントとして活用する「臭い診断学」も進んでおり、がんや感染症の早期発見に役立つ研究が進められています。
一方で、現代社会では、これらの自然な臭いを「不快」とみなす風潮が強く、柔軟剤やデオドラント製品で覆い隠す習慣が定着してしまいました。
しかし、これは逆効果を生む場合もあることを忘れてはなりません。
上記の通り、人工的な香料は、化学物質として皮膚や呼吸器に負担をかけ、過敏症を引き起こすリスクがあります。それに対し、自然な体臭は生体に調和したもの。
たとえば、乳児の体臭は母親の母性本能を刺激し、絆を深める役割を果たします。また、運動後の汗の臭いは、達成感や活力の象徴としてポジティブに捉えられるべきものだという考えも。
専門家によると、新陳代謝を促進する適度な運動やバランスの取れた食事は、ニオイの質を改善し、健康的な体臭を維持する鍵となるといいます。
野菜中心の食生活は、抗酸化物質を増やし、ニオイの原因となる活性酸素を抑える効果が期待できるように。
このように、ニオイは人間の新陳代謝という自然発生的なメカニズムから生まれるものであり、僕らの身体が正常に機能している証なのです。
人工的な香りに頼る前に、自分のニオイを理解し、受け入れる姿勢、食生活を改善し、カラダを清潔に保つ習慣が、健康的な生活への第一歩と言えるのではないでしょうか。
放っておくと、臭くて当たり前。「おまえ、くせーぞ」なんて罵り合って僕は大人になりました。今の子供は「臭い」ことは悪であり、拒否すべきものであり、撲滅すべきものという捉え方しかできない。
でも、ちょっと待って。宇宙自体が善も悪も包み込んでいるように、人間本来のニオイも、良い香りも、すべては相対的なもの。自然発生的に仕方のないもの。
その解消方法を安価に化学物質などで埋め合わせせずに、臭さも全部ひっくるめて自然的な香料の進化を望みたい。
原料も価格も上がりそうですが、それこそ政府の子ども食堂の予算を「香害」に回してもらいたいものです。
マーケティングによる売り上げはその次でしょう。
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