クィアマガジン「purple millennium」を運営し、LGBTQ当事者としての経験や考えを発信しているHonoka Yamasakiです。
LGBTQを自認する人のなかには、LGBTQ含めたセクシュアルマイノリティ(セクシャルマイノリティ)の人と出会うことが難しかったり、そもそも見かけないと感じている人は多いでしょう。ヘテロセクシュアル(異性愛者)と比べると、LGBTQの出会いの確率は低くなりますし、恋人や友達づくりに苦労した人の話もよく聞きます。
実際、筆者自身もセクシュアリティに悩んでいたころは「まわりにセクシュアルマイノリティの友達がいたら安心できるのになぁ」とか「どのようにしたらLGBTQの人たちと出会えるんだろう」と悩むこともありました。
そんな風に困難に感じていた昔と比べると、いまは多少なりとも出会いやすくなったように感じています。そこで今回は、私が実際にLGBTQの出会いで困難であった経験や、いまどのようにして当事者と出会っているのかについてお話します。
LGBTQという言葉が浸透していないために調べられなかった
私が同性に対して恋愛感情を抱いたのは、いまから8年前の高校時代でした。
ですが、当時はいまほど「LGBTQ」という言葉が浸透していなかったため、私のなかでは「セクシュアリティ」という概念すらありませんでした。そもそも言葉を知らないことから、ネット上で情報を調べるまでにも至らなかったのです。
LGBTQの存在を知らないまま3年が経過し、大学に入学。そこで初めて、LGBTQ当事者の友達ができました。
そのことがきっかけで「LGBTQ」という言葉を知り、スマートフォンで調べてみると、自分と同じ経験をもつ人たちがたくさんいて、同性愛は意外と存在するものであることがわかりました。
とはいえ、5年前の当時でも正しい情報をネット上では簡単に入手することはできず、ジェンダーやセクシュアリティについては図書館にあるような専門書に書いてある堅苦しいものとしての印象をもっていました。
そのときは、正しい知識を得るより、自分と同じように同性を好きになる人がいることへの安心感を得るためのツールとしてLGBTQに関する記事を読んでいました。
マッチングアプリにおける時代の変化
5年前の当時はTinder(ティンダー)などの異性愛者向けのマッチングアプリが使われ始めたころで、レズビアンやバイセクシュアルの女性専用アプリやゲイ専用アプリも(主流ではありませんでしたが)少しずつ見かけることが増えたころでした。
筆者も当時、レズビアンアプリを使っていましたが、いまよりもクローズドな雰囲気で使っていた人が多いように感じました。普段セクシュアリティを隠していることから、身バレ防止のためにプロフィールに顔写真を掲載する人は少なかったり、偽名を使ったりしている人などがほとんど。
また、当時はマッチングアプリ以外にも「掲示板」を当事者同士がお話しする場として利用していました。セクシュアリティについてオープンに語られることが少ないことからか、当事者ならではの悩みや相談のチャットが多く見受けられ、オンラインからリアルで出会うことはいまほどはなかったのかなとも感じています。
最近では、LGBTQ以外の性の言葉が誕生したり、クィアの概念が語られるようになったことから、以前よりもセクシュアリティを公表する人が増えています。
実際、ライターとして一緒にお仕事させていただいているメディアのかたからは、有難いことに「当事者としての経験を書いてほしい」と言っていただくことがあり、メディアのコンテンツにも変化があらわれています。なので、世の中の風潮も徐々には変わってきているのかもしれません。
いまは、ネットで調べたら簡単にほしい情報や記事を見つけることができます。そしてまだLGBTQへの理解は少ないものの、5年前と比べるとLGBTQを扱うメディアも増え、セクシュアリティをオープンにして過ごす当事者人が増えてきたように実感しています。
マッチングアプリのユーザーを昔といまで比較してみると、プロフィールにセクシュアリティや性自認を書いている人を多く見かけるようになり、LGBTQという存在を認知するようになったのだと前向きに捉えられるようになりました。