クィアマガジン「purple millennium」を運営し、LGBTQ当事者としての経験や考えを発信しているHonoka Yamasakiです。
最近、「選択的夫婦別姓」はニュースで取り上げられている話題であり、多くの人から関心が寄せられています。賛成派・反対派とさまざまな意見が存在しますが、制度について誤解をしていることも多々あるようです。
若者にとって結婚は今後直接関わる可能性もあり、決して他人事ではありません。長く議論されているにも関らず、なぜ制度導入には至らないのか、どのよう議論がなされているのか、きょうは一緒に考えていきましょう。
そもそも「選択的夫婦別姓」って何?
「選択的夫婦別姓という言葉はよく聞くけど、イマイチ意味がわからない…」という人もいるのではないでしょうか。
簡単に説明すると、選択的夫婦別姓とは自分の姓をどうするか、選択肢をもうひとつ増やす制度のこと。現在は、結婚した夫婦は同姓を名乗ること、つまり「夫の姓を名乗る」もしくは「妻の姓を名乗る」の2つの選択肢しかありません。
ですが、この制度が加われば「結婚前のそれぞれの姓を名乗る」という選択肢が増えることになります。
夫が妻の姓を名乗ることが可能ではあるものの、厚生労働省によるとその割合は4%とごくわずか。結婚した夫婦は、女性が苗字を変えることがほとんどであるため、最近ではフェミニズムはジェンダーの観点から問題視されることも増えました。
この4%という割合は、いままで根付いた家父長制(家族に対し、絶対的な権力を持つのは家長である男性である家族形態)の考えも関係しているのです。
ですが、夫婦同姓を実施している国は世界中で日本だけ。世界各国の制度をみても、夫婦の姓においては主流は選択型。
アメリカやイギリスには夫婦の姓を選択できる制度が存在し、フランスや中国は日本とは反対に原則別姓です。夫婦同姓が義務付けられていた各国でも選択型に変更したなか、日本がいまだに夫婦同姓にこだわる理由はあるのでしょうか。
実は、日本は夫婦で別の姓を名乗る時代がありました。法務省によると、徳川時代は一般的に農民、町民は苗字を名乗ることが許されていませんでした。明治3年に、姓の使用が可能に。明治8年には姓の使用が義務付けられました。
そして、夫婦別姓が適用されたのは明治9年のこと。妻は実家の姓を用いることとされていましたが、夫の姓を名乗ることが徐々に慣習化していったのです。
そして31年、夫婦は家の単位として認識されることで同姓を名乗ることとなりました。その後昭和22年に制度が改正され、夫婦同姓が開始されました。このように歴史をたどると、もとは同姓を名乗ることではなかったことがわかります。