クィアマガジン「purple millennium」を運営し、LGBTQ当事者としての経験や考えを発信しているHonoka Yamasakiです。
コロナ禍でより表面化した「生理の貧困」。さまざまな理由により生理用品の入手が困難な生理の貧困は、性へのタブー視や性教育が不十分であることから、なかなか語られることがありません。
最近では、女性権利にアプローチした議論がなされ、以前よりは生理について考えるきっかけが増えました。ですが、まだまだ生理のある人だけの話題として捉えられている傾向もあります。
生理のある人にとって、生理は定期的に訪れるもので、長く付き合っていかなければならない存在。また、生理の貧困は深刻な社会問題にもつながり、生理のない人にとっても直接関わる問題なのです。
そこで、今回は生理の貧困についてお話します。
生涯にかかる生理用品の費用は50万円にも及ぶ
生理の貧困とは、生理用品が入手できなかったり困難な状況を指します。そういった問題をいち早く解決しようと動き出した国がイギリスです。
2017年に国際NGOのプラン・インターナショナルUKが行った調査では、回答者の10%が生理用品を買えなかったと回答し、生理の貧困の実態が明らかになりました。
そこから、さまざまな国で問題視されるようになり、ようやく日本でも近年議論されるように。生理の貧困は発展途上国だけにある問題だと認識されがちですが、実は日本を含む先進国で悩んでいる人が多くいるのが現実です。
厚生労働省が行った2019年の国民生活基礎調査によると、日本における子どもの貧困率が7人に1人であることが明らかになっています。貧困という問題があるなかでも、女性は生理が訪れる度に生理用品を購入する必要があります。そこで、実際に生涯にかかる生理用品の値段を計算してみました。
一般的にいわれている最初の生理(初潮)は10〜15歳。仮に初潮を13歳、閉経を50歳と設定して計算すると、生涯37年間定期的に生理がくることになります。毎月1回の生理が平均して5日間くると想定すると、人生で2,220日間。つまり約6年間もの生理期間を過ごすことになるのです。
また1日5回ナプキンを変えると仮定すると、人生で1万1100枚ものナプキンを使うことに。1パック30枚入りの商品は300円前後で販売されていることが多く、1枚につき約10円かかります。
10円(ナプキン一枚の値段)×5(1日にナプキンを変える回数)×2,220日(生涯の生理日数)を計算すると、生涯にかかるナプキンの値段は「約55万円」であることがわかります。
さらに、ナプキンだけでなく鎮痛剤を購入することを考えると、費用はもっとかかるでしょう。
20錠700円の商品で計算すると1錠35円。1回2錠を1日のうちに3回服用すると、6錠となります。出血と痛みが特に多いとされる1〜3日目の3日間服用することを想定すると、生涯における鎮痛剤の費用は「約28万円」。生理のある人は、ナプキンと錠剤だけでも「約83万円」を払っている計算となります。
それ以外にも生理ショーツやタンポン、ピルの処方など諸々かかることもあり、費用が50万円を上回るケースもおおいに考えられます。
「たかが少額なのに大袈裟だ」と生理の貧困について深刻に捉えないような意見もみられますが、一生涯にかかる金額をみてみると、一人一人の経済状況に影響することは十分考えられるのです。