こんにちは。メンタルトレーナー&心理カウンセラーの吉田こうじです。大人になってもあなたを苦しめる『「毒親の呪縛」を本気で断ち切る実践トレーニング』を連載しています。
本記事内に登場する「毒親」とは
子どもに対する拒絶、侮蔑、無視、過干渉、虐待などによって、子どもの心身に罪悪感、劣等感、不安感。過剰な義務感、不足・欠乏感、羞恥心、無価値感などのネガティブな思考や感情を継続かつ執拗に植え付け、それによって子どもを「自分の所有物」かのようにコントロールする親のこと。また、「親」とは実の親のみならず、「親代わり」の身近な人も含めます。
今回は、僕がマンツーマンのセッションをしているクライアントの半分以上どころか、8割くらいの方が大なり小なり毒親から強制的に演じさせられていた、「ある役割」について考えてみたいと思います。
「いい子」を演じさせられる子どもたち
その「ある役割」とは、いわゆる「親の期待する“いい子”を演じさせられる」というものです。
親から、本来、背負わなくてもいい期待、責任を押し付けられ、それにもめげずに頑張っていると、ときには親から褒められたり、まわりの大人たちからも「偉いね~」などと賞賛されたりすることもあります。
一方的に、親のフラストレーションを押し付けられるのとは違って、頑張ることで賞賛されるのですから、情緒的には特にダメージがないように思われるかもしれません。むしろ「自己肯定感が上がるのでは?」と思われるかもしれませんが、実は賞賛されることで、さらに深刻なダメージを受けたりします。
「親の期待するいい子を演じること」には、ここまで到達したらゴールという明確な「終わりがない」からです。
ただでさえ親は気まぐれで一貫性もない状態のため、客観的ないい子の指標や基準がありません。ここまで頑張ればOK!といった判断基準がないって、とても辛いことです。
テストなら「100点とったら理解できている」というひとつの明確な判断基準があります。部活なら、「地区優勝」とか「全国大会出場」とか、同じように明確なゴール設定があります。
でも「親が期待するいい子」には、ゴールがありません。どこまで頑張っても「もっともっと」とさらなる高みを要求され続けるばかり…。
そんな状態で、いい子を演じることを求められるわけですから、当然ながら「親の顔色をうかがう」ようになります。
ですが、いくら顔色をうかがっても終わりがない。そのためエンドレスで頑張り地獄に突き進むことになります。このプレッシャーといったら大変なものがあります。
常に「親が期待するいい子」を演じることを求められ続けてきた子どもは、大人になっても「終わりのない完璧さ」「親が求める正しさ」「親が称賛する結果(価値観)」に向かって自分を駆り立て続ける「癖づけ」「習慣」が体に染み付いているので、日々、目には見えない激しいプレッシャーをヒシヒシと感じては、プレッシャーに追い立てられ続けることになります。
それとともに、体に染み付いた「親の価値観」に縛り付けられて身動きが取れなくなります。悩ましいですね…。
実際のクライアントさんの事例を紹介します。