みなさんこんにちは。韓国に暮らして14年、私は現在ソウルで留学生対象にシェアハウスを運営しています。
韓国では近年、麻薬による犯罪や事故が多発しており、現在麻薬使用者は100万人を超えると言われています。
韓国の人口が約5千万人ですから、ざっと計算して50人に1人が麻薬を服用していることになります。
そして衝撃的なのが、「その麻薬使用者には未成年も多く含まれている」という事実。
特に麻薬犯罪で逮捕された10代は、3年間で3倍以上に急増しているそうです。(参考:KOREA WAVE)
SNSの拡散により、簡単に手に入るようになった麻薬
いまや、韓国もスマートフォンを持っていない中高生はほぼいません。
まだ精神的に未熟で好奇心が強い中高生たちは、友人とのつながりのため麻薬に興味を持ち始めます。
現在韓国の麻薬はほぼネット上で売買されているようで、スマートフォンを所持していれば、未成年でもSNSを通じて簡単に販売者と接触ができてしまいます。
支払いは仮想通貨で、麻薬の購入まですべて非対面。お互い相手が誰かわからないまま、販売から購入まで終了してしまうそうなのです。もちろん、親の知らないところで。
とはいえ、中高生たちが多量の麻薬を手に入れることは金銭的に難しい。そのため少量を購入し、中高生でも出入り可能なカラオケの個室やカフェのトイレなどで友達と麻薬を分け合って服用するパターンが多発しているそうです。
また、ソウルのカンナムという地域の学習塾に通う中高生を狙って「頭がすっきりする薬」と誘惑し、麻薬を売りつけ、その保護者まで脅迫するという組織的な犯罪も摘発されました。
カンナムは学習塾が多いことで有名で、特に富裕層の保護者から人気のある学習塾が集中しています。
そんな地域で起きた、中高生を狙ったこの事件は当時大きなニュースになりました。
ほかにも、麻薬を手に入れられないため風邪薬を大量に服用した女子中学生が道端で倒れてしまうという出来事も。通行人がすぐに通報し、倒れた女子中学生はすぐ病院に運ばれました。
幸い致死量ではなかったそうですが、なんと日本製の総合風邪薬を一度に20錠も飲んだそうです。
韓国では日本の薬が人気で、ネットで誰でも簡単に購入することができます。この女子中学生もネットで購入し、興味本位で服用に至ったそうです。
特に10代の女性は、性的な目的を持っている男性たちのターゲットになることもあります。
麻薬に興味のある女性に無料で麻薬を服用させ、中毒状態になった女性を男性に紹介。ブローカーは紹介費という名目で、麻薬代金を代わりに受け取るのだそうです。
ほかにも10代の若者が、自身で麻薬を投薬するだけではなく、麻薬の流通・販売業者にまで足をそめるという悪循環も発生しています。
麻薬にはまってしまい、麻薬購入代金を払いきれず、麻薬流通業者で働かざる負えなくなってしまうのです。
女性の場合は、麻薬代金支払いの代わりに性関係を要求されることもあるとのこと。
もはや、家庭や学校だけの努力では手に負えない?
韓国は、学歴社会。ほとんどの中高生が放課後は帰宅せず、塾に直行し夜遅くまで勉強をします。
しかし、塾に行くと見せかけて塾をさぼって麻薬に手を染める…このような親の目が届かないところで、未成年による深刻な麻薬犯罪がひそかに広がってしまったのではないでしょうか。
私にも、小学生の子どもがいます。あと数年すれば中学生です。
子どもの通う小学校からも、麻薬の危険性を知らせる手紙が届いたり、小学校で麻薬使用防止の授業も行われてはいますが、子ども自身はまだその深刻性に気づいていません。
もちろん家庭で麻薬についての教育をしていきますが、国の未来である子どもたちを守るためにも、国が全力をあげて未成年の麻薬犯罪防止に取り組んでほしいと思っています。
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