出産や育児を支援する制度を利用する人が増えるなかで、立場の異なる女性同士の溝が深まってしまうケースを目にすることがあります。
その典型的なものが、ワーキングマザーと独身女性の対立です。
産休や育休、時短制度を利用することによって生じた穴を、周囲の人たちが埋めることに不満を感じている人も少なくありません。
そこで今回は、ワーキングマザーと独身女性、両者の溝を埋める解決策を考えます。
マタハラならぬ「逆マタハラ」の深刻化とは?
女性に関わらず、男性の育休推進が進むなかで最近問題となっているのが、マタハラならぬ「逆マタハラ」。「逆マタハラ」とは次の状態のことです。
- 育休や時短勤務を利用する社員の増加で、ほかの社員に負担がかかる状態のこと
- 育休や時短勤務を利用する社員の自分勝手な言動により、ほかの社員がストレスを募らせる状態のこと
この「逆マタハラ」が両者の溝を生んでいるのは明らかでしょう。
最近では、この問題を解決すべく、「育休応援手当金(育休取得者を除く職場全員に給付される一時金のこと)」を支給する企業も出てきています。
しかし、現時点でこの制度を取り入れている企業は、大手企業のごく一部のみ。
果たして「育休応援手当金」制度を取り入れることによって両者の溝は埋まるのでしょうか。
それぞれの不満とは?
そもそも、両者の対立構造を生み出すきっかけとなった、両者の不満とはどんなものなのでしょうか。SNSなどでは、次のような不満の声が見られました。
独身女性の不満
- なぜ子持ち女性ばかり優遇されるのか。独身女性には休暇など与えられないのに
- シフト制の職場では、ワーママだけ土日休み。有給も使えてずるい
- 自分のやりたい仕事は残業するのに、やりたくない仕事は自分に回ってくる
- 制度(時短勤務)を利用するのはかまわないが、周りが手伝ってくれるのが当たり前と思って仕事をしないのはおかしい
ワーキングマザー
- 仕事と育児、家事の両立の大変さは独身者にはわからない
- 限られた時間で精神的に追い詰められ、いっぱいいっぱいで「仕事しなきゃ!」と感じる。
- 育休中は満員電車のような人混みや、8時間ぶっ通しで集中するようなことがないから、体力や免疫力が低下している
私は両者の経験があるので、それぞれの気持ちがわかります。だた、ここでそれぞれがいがみ合っても何も生まれません。
そもそも、このような対立構造ができあがったのは、管理職の配慮が足りないことが原因ではないのかと私は考えています。
同じ女性といえども立場が違えば、もちろん考え方も違います。お互いの立場を理解しあうのは、難しいものがあるのです。
上司が、サポートする側・サポートされる側の状況を理解して、業務のバランスを調整することも大切なのではないでしょうか。