実家、片付けていますか?
地元を離れてマンションも購入済み、帰省以外で本当の意味で地元に帰る予定のないひとりっ子の筆者。
2022年に書かせていただいた記事、『一緒に乗り越える兄妹がいなくて不安。「一人っ子」が考える、親の老い先』で祖父母や父、実家の“終い支度”についてふれました。
30代も半ばに差し掛かると同年代や近い年齢の人のなかでも、物理的に「実家をどうするか」と話題になることがちらほら見受けられるようになりました。
実家の近隣に暮らしていたり、地元に戻り家を物理的に受け継ぐ予定ならば、それに伴い実家のリフォームや建替えといった「どう受け継ぐか」を考えるかと思います。
しかし地元に戻る予定もなく、父にもそう伝えている筆者の場合は「父の代で実家を物理的になくすこと」に伴った片付けが悩みの種。
実家は物が多いというのは割とあるある話で、筆者の実家も例に漏れません。
本格的に片付けようと思うとかなり腰が重いもので、腰を上げるのに1年以上かかってしまいましたが、ようやく昨年実家の片付けをはじめました。
どこから片付けたらいいのかわからない
筆者は田舎町の生まれで、実家は長い間兼業農家を営んでおりました。そのため実家は大きくはないものの一軒家の他、平屋の物置や納屋が複数ある状況でとにかく物が多いのです。
母屋にも物置にも納屋にも片付けられそうなものばかり。とはいえいきなり「物置を全部片付ける!」というのは、腰の重さに拍車がかかります。
祖父母の目にも大々的な片付けをしているように映ると考えると、筆者が思っている以上に思い入れがある品などを処分してしまったり、急に物が減ることで寂しくなり元気をなくしてしまってはかわいそう。
あれこれ考えた結果、まずは帰省の際に筆者も寝泊まりをしている6畳間の部屋ふたつを繋げた大きさの父の居住スペースから片付けはじめてはどうかと考えました。
父とは以前から実家の片付けについて折をみて話してきたので、「どこから片付けてほしい?」と尋ねると、衣類から片付けてほしいとのこと。
聞けば、筆者が大学進学のため上京する際置いていった衣類もこのスペースのタンスに残っているのだそうで。
そうであれば手始めは自分が残した衣類から。夏に帰省したタイミングで、22年からやらねばと考えていた“実家の片付け”がスタートすることになりました。
父が暮らしやすいように
片付けと息まく子ども(筆者)を横目に父は「大変だから服だけでもいいよ」と控えめな姿勢。気遣いよりも協力がほしいと少々モヤッとしつつ、タンスに手をかけました。
上京しておよそ15年。思わず「懐かし~!」と声を出してしまったものもありましたが、残した衣類の大半はタンスを開けるまで存在すら忘れていました。
多少の懐かしさはあっても、残念ながらサイズ的にも入らないためノールックでどんどんゴミ袋へ放り込んでいきます。
父の希望により、幼稚園の時の制服と帽子だけ残すことし、それ以外の衣類を詰めるとあっという間に45Lのゴミ袋が3つパンパンに。比例してタンスは空っぽになりました。
片付けのスイッチが入ってしまったので、父の了承を得てさらに片付けを進めます。
次に狙いを定めたのは、父の部屋で存在感を放っているふたつ並んだシルバーラック。ラックに置かれているものの大半が無造作に平置きされているため、ラック全体はすかすかでデッドスペースだらけ。
日常生活最低限の家事は問題ない父ですが、整理整頓はあまり得意ではないようです。
まずは明らかに廃棄になりそうなものと、そうでないものを分別していきます。
中身が空になった大きな消臭剤や、埃を被ったポケットティッシュ、使い終わった乾電池。古い文房具はインクが出るものだけを残し、出ないものは容赦なくゴミ袋へ。市販薬も使用期限をチェックすると、ほとんどが期限の切れたものでした。
いつもらったのかわからないノベルティ類も廃棄にしたいところですが、念のためいったん保留に…。
要不要が不明なものはひとまとめにして、父に目の前で分別してもらいました。
そこからも廃棄になるものがかなりあり、最終的な物量は3分の1程度に減らせたため、ふたつあったシルバーラックをひとつに減らすに成功!
減った分棚の配置も変えると、床面積がラックひとつ分広がったり父も「部屋が広くなった!」と喜んでくれました。
父の部屋から片付けをはじめた理由のひとつは、父に少しでも暮らしやすくしてほしかったから。
祖父母もかなりの高齢、本当は筆者が実家に帰り祖父母の世話を手伝うのが父にとって一番の孝行であることは明らかです。しかし父は「帰ってきてほしい」とは口にしません。
筆者が数年前に上京先でマンションを購入してしまったから、きっと言いたくても言えないというのもあるでしょう。だからせめて、少しでも父のためになにかやってやりたいと思ったのでした。