もし、心から「離婚したい」と思ったとき。子どもがいたら、一度は踏みとどまると思います。それはきっと、子どもが生まれると自分だけの人生ではなくなるからではないでしょうか。
事実、ひとりで、もしくはお互い我慢しながら、結婚生活を続ける人も少なくありません。子どものことを思ってした選択は、本当に良いことなのか。それとも悪いことなのか…。
私たち子どもも、自ら人生経験を積んでそこそこ齢を重ねれば、両親の心情や、本当のきもちも推測して飲み込めるようになります。でも、幼いころや若いときには受け入れられないかもしれません。
「あなたのために…」が傷つくワケ
「あなたたちのために、別れなかったの」このセリフを、”お母さん”という存在を抜きにして考えてみてください。
「あなたのことを思って○○したの」「あなたのことを考えて○○しなかったの」
文字だけを並べてみると、相手を思いやる「愛」の言葉です。それなのに聞かされた”子ども”はどうして怒りを感じたり、傷ついたりするのでしょう?
では逆に、私たち親が、子どもから同じセリフをいわれたことを想像してみます。
「私、お母さんやお父さんの状況を考えて進学はあきらめたの」「私、お母さんたちのきもちを考えて自分の好きなことは選ばなかったわ」「お母さんのことを思って、私、結婚しなかったのよ」
…さあ、どうでしょう。それが本当に「愛」の言葉かどうかは議論があるでしょうが、相手を思いやるきもちや愛情が含まれていることには間違いありません。なのに胸のあたりがすごく嫌な感じがしますよね。胸に何かが刺さるように感じるかもしれません。
そう、罪悪感です。相手の幸せを願う想いが大きければ大きいほど、「自分のせいで相手は幸せを選ばなかった、選べなかった」と聞こえてしまうのです。
このきもちは、子どもたちも同じ。親が子どもたちを想う以上に、子どもは親が幸せであってほしいと願っています。
それはちいさければちいさいほど、純粋に。若ければ若いほど、強く。
だから私たちが、親から「あなたたちのために」と聞かされたとき、傷つくのです。私たちは相手の幸せを想う気持ちが大きい分、「自分のせいで」と罪悪感を感じてしまうのです。