「子どものために」と考えるのはまちがい?
あまり良いことではないのですが、先日会話の流れで、うちの妻と下の子がこんな会話をしていました。
「もし、お母さんとお父さんが離婚したら○○はどっちと暮らす?」
下の子は少しだけ考えて、「ぼく、お父さんと暮らす。なんでってお兄ちゃんはママのことが大好きやから、ママと一緒に暮らすやろ。だからぼくはお父さんと暮らす」
ちょっと意外でした。でも正直なきもちをいうと、選ばれたような嬉しさがなかったわけではないです。
その後、寝るときに布団の中でもう少し詳しくきもちを聞くと、「お母さんはいろんな人と仲良くできるけれども、お父さんはそういうこと苦手やし、ぼくがいっしょに居てあげるねん」といっていたとのこと。少しショックでしたが、でも彼の気持ちはすごく嬉しかったです。
実は私は、物心ついた時から、父と母が別居を繰り返していました。そうした環境か、もともとそういったやさしさを持っていないのかは定かではありませんが、「親がさみしいだろう」というきもちを経験していませんでした。
でも、この仕事で出会った方や知り合いでも、「片方の親がさみしいだろうから、兄弟がバラバラになって離婚した父と母とそれぞれと暮らす」という話を聞くことも多いです。
話を元に戻しますが、「下の子が僕と暮らす」といっても、お母さんと離れることが平気なワケでは決してないです。誰よりもお母さんといっしょにいたいです。
そして、彼はお兄ちゃんも大好きです。でも、お父さんが寂しいんだったら、お父さんと暮らす。
そう考えている、そんなきもちを持ってくれている彼から、大好きなお母さんと大好きなお兄ちゃんを引き離すことができるんでしょうか。
カウンセリングをしていると、「子どものことを考えるとやっぱりどうしても別れることが出来なくて…でもそれって本当は良くないのですよね」と尋ねられることがあります。
でも私は、「子供のために離婚しない」という選択を、良くないことだとは思いません。立派な愛のある決断です。
ただその選択を将来子どもたちに伝えるときがあるとすれば、彼らが、私たち親に対して抱いてくれている想いを知った上で話す必要があると思います。