ついに離婚を決意。初めて考える自分らしい生き方
ライターi:どうにか踏みとどまっていたナオが離婚を決めたきっかけは何だったの?
ナオ:これがまたお金で…ある日、彼あてに差出人未記入の郵便物が届いて。普段なら気にせず彼にそのまま渡すんだけど、なぜか女の勘が働いて開けちゃったら、消費者金融の利用明細だったの。
ライターi:おぉー…️お金借りてたの?
ナオ:たいした額ではなかったんだけどね。明細を見たとき、自分のなかで糸がプツンって切れるのがわかった。あぁ、これはもうダメだなって。
どんな理由があるとはいえ、こうなる前にいってくれなかった彼に対して悲しかったし、いえない関係になってしまったんだって。郵便ポストの前で覚悟を決めたの。離婚しようって。
ライターi:わわわ…それは想像しただけでつらいよ。
ナオ:彼を問いただすと、実は結婚式をあげる前から借りてて、しかも起業後もときどき借りてたみたい。そのとき知ったんだけど、彼の働いていた会社が実は業績がよくなくて、ボーナスカットや給料の見直しが行われていたそうなの。
ライターi:これこそすぐいってほしかったよね。
ナオ:うん。彼もずっと弁明をくりかえしけど、途中から「もうなんでもいいや」ってなってた。それで彼に、「もう離婚してください」って頭を下げた瞬間に心が一気にラクになって、不思議なことに妙に力が湧いて無敵な気分になったんだよね。いまなら私なんでもできるかもって。
彼には「別居なり、いったん冷却期間を置いて、もう一度話そう」っていわれたけど、私は絶対に首を縦に振らなかった。
ライターi:ナオが次の人生に歩き始めた瞬間だったんだね。
ナオ:そうだね。ここからは展開が本当に早かった。いままでひとりになると泣くことが多かったけど、人生をオールリセットしたくなってきちゃって。
仕事が終わると毎日にカフェにこもって閉店時間まで今後の生き方を考えてた。今後誰とも結婚せず、ひとりで生きていくことも想定して、この先どうしたいのか、フォトグラファーを続けていっていいのか、自分の強み・弱みとは何かって。
はじめて真剣に、自己分析をした気がする。そしてこのとき一度フォトグラファーの仕事を辞めて、別の仕事をしてみようって決意したんだ。
ライターi:離婚から仕事まで変えちゃうって、また大きく出たね。
ナオ:正直にいうとね。写真は大好きだけど、いつもどこかで自分の写真に自信が持てなかったの。いい写真が撮れたと思っても、もっといい写真を撮る人がごまんといて、その差に愕然とする日々だった。
そんなコンプレックスからずっと逃げていたから、いつも不安定で人に依存するような考えになってたんだと思う。それが、ようやく離婚でちゃんと向き合えたんだよね。
それで出た結論が、大好きなひとつのことで1番になれないのなら、新しいことと組み合わせて自分にしかできないことをつくり上げようっていうことだったの。
ライターi:ナオが良くいう「組み合わせ」って、ここから来てたんだ。
ナオ:いまだ組み合わせの答えは見つからないけどね。でも少しずつ、これまでにやってきたことのひとつひとつがつながっていっていく感じがして毎日楽しいよ。
ライターi:楽しんでいるのすごく伝わる。少し話戻るけど、彼とは円満に別れられたの?
ナオ:離婚を切り出した途端に再就職先を見つけてきたりと、どうにか私をつなぎとめようとしていたけど、新しい仕事を始めようと動いている私を見てしぶしぶ了承してくれた。
最終的には「お互い新しい道に進んでがんばろう」って言ってくれたよ。こうして約2年の結婚生活が終了したの。