悪いのは相手?それとも…?
Aさん自身はずっと長い間、「また騙された」「こんなはずじゃなかった」と相手に一方的に非があると本気で思っていました。
しかし、過去を振り返り、自分と向き合いながら、これまで繰り返してきた自身のパターンと真剣に向き合うことで、ネガティブな感情をぶつける相手を求めている自分に気づきます。
そして、本当にぶつけなければならない相手をごまかし続けてきた負の遺産が、破局的な人間関係を自作自演するという無自覚な行為に走らせてきたことを悟ったのです。
Aさんはこういいます。「実際のところ、こうした気づきがなければ、きっとこれからもダメ男との恋愛を繰り返しながら、本当の怒りの相手を見ないようにするということを私は繰り返し続けていたんでしょうね~」。
Aさんがおっしゃる通り、それくらい、自分の本音と向き合い心が傷つくことを、私たちは無意識に、そしてとてもとても、信じられないくらいとても巧妙に避けてしまうようです。ですが、避け続ければ続けるほど、Aさんのように悩みは大きく深くなるのです。
そして、Aさんのようなパターンに陥って苦しんでいる人は少なくないのです。
毒親の呪縛を抜けたAさんのその後
Aさんのその後についても簡単にお話しします。
幸いなことに、Aさんの場合は、ご両親とも健在で連絡を取ろうと思えば取れる状態でした。
自分と向き合い整理がついたAさんは、幼いころに家を出たお父さんとお母さんに溜めてきた思いをぶつけるという人生の大転換を迎えます。
ただ、残念ながら、お父さんの方は想像以上のダメ親父だったらしく、かなりガッカリしたそうですが、そのおかげでむしろ父への思いはスッパリ割り切れたとのことでした。
お母さんには、確かに強い怒り、憎しみの感情はあったのですが、過去を振り返る中で、実は感謝の気持ちの方が自分の中では大きかったということに気づいていたこともあって、いまではまるで親友のような関係になっています。
また、離婚の危機を迎えていた夫とは、いまだにぶつかることもあるそうですが、話を聞いていると実は結構仲がよさそうです。
ということで、父親が家族を顧みない毒親だったという事実を受け入れたくないがために、理想化したり抑圧したりしたことが、その後のAさんの人生に重苦しい影を落とし続けてきたという悩ましいお話しも、自分自身と向き合うことを恐れず実行したおかげで解決しました。
Aさんは「いまは本当に人生が満たされています」というエンディングを迎えています。こんなふうに、毒親の呪いから自分を解き放つことはできます。
ただし、これまでもお話ししている通り、「朝、目が覚めたら自由になっていた」みたいに簡単にはなかなかいきません。
でも、Aさんの物語を、明日のあなたの物語にすることはできると僕は信じています。
次回の『「毒親の呪縛」を本気で断ち切る実践トレーニング』は2021年5月26日公開予定です。
- image by:Unsplash
- ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。