弱者に向かう怒りの矛先
「怒りや恨みつらみなどのネガティブな感情は、本来、その感情を向けるべき相手ではなく、よりぶつけやすい相手に向けられやすい」ということです。
そうした怒りは、自分よりも非力な子どもに向けられることもあれば、浮気をしたとか隠れて借金をしたなどの責められる理由のある相手に向けられることもあれば、職場の部下に向けられることもあります。
もっというと、次のように無自覚に自作自演して相手を責めるような理由を創造してしまうことも…。
- 相手が浮気するように仕向ける
- 相手が借金するように仕向ける
- 相手が怒るように仕向ける
いずれにしても、本当にぶつけたい相手に、怒りや恨みつらみをぶつけることを避け続けているせいで、怒りや恨みつらみの感情はスッキリと消化(昇華)されることがなくエンドレスになっているということです。
もう少し別な例で簡略化して説明すると、こんな感じになります。
取引先の相手から理不尽なクレームをいわれる
↓
取引先のため言い返すこともできずに堪える
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行き場のない怒りを抱えたまま帰宅し、散らかった部屋をみて妻を怒鳴る
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怒鳴られた妻は、そのストレスを子どもにぶつける
↓
怒られた子どもはおもちゃを壊す
Aさんに起きていたことも、構造的にみると実は同じです。
本当は内心では、家族のことを、そして幼い自分を捨てた父親を憎んでいる。父親と不仲になって離婚した母親のことも恨んでいる。
でも、父親に対しては「いい思い出」もあるし、「自分が捨てられた」ことを認めることができないので、「母親のせい」にしたり、父親のことを理想化することで、父親のことを恨むことを否定し抑圧している。
一方で、母親に対しては、「怒りをぶつけたら母親にも捨てられるかもしてない」という恐怖や、「女手ひとつで育ててくれて申し訳ない」という思いもあって、怒りをぶつけることを否定し抑圧している。
そうやって抑圧され行き場を失ったネガティブな感情は、その発散場所をいつも求めるようになります。
そこで登場するのが、「最初はうまくいっているのに、後々トラブルが発覚し失望させられる男性の存在」というシナリオなんです。悩ましいですよね…。