購入の場合
それから1年程悩み、今後のふたりの暮らしを考えてマンションを購入することにしました。検討した理由は3つあります。
1つ目は僕たちが夫婦同然である生涯のパートナーであるとお互い考えていること。2つ目はどちらかの身になにかあった場合に賃料を支払っていけず、部屋を退去しなければならないこと。
3つ目は、「高齢になったときにそもそも部屋を借りることができるのか?」ということ。パートナーとしてお互いにできることのひとつとして、購入に至りました。
マンション購入の際、前回の反省を踏まえて、まずはLGBTフレンドリーを掲げている不動産屋に相談しました。事前にセクマイカップルであることをカムアウトできたので、とても親身な対応で不安なく相談をすることができました。
購入なら最低二社は検討したほうがいいという周囲のアドバイスで、もう一社相談。こちらはLGBTフレンドリーを掲げてはいないものの、来店予約の段階で事前にカムアウトをして対応可能か聞くことができたので、特に対応に不満や不安はありませんでした。
事前のカムアウトをしてよかった点は、メンタル面だけではありません。住宅購入で大切な、共同で返済するための住宅ローンについての相談も、僕たちのケースに併せてそれぞれ提案していただけました。
セクマイカップルの住宅購入では、各々でローンを組み返済するペアローンの利用をよく耳にしますが、僕たちはひとつのローンをふたりで返済する連帯債務での返済を選びました。これは僕たちが「お互いの身に何かあっても相手に住まいを遺すことができる」ことを希望していたからです。
こうして見ると、「購入のほうがいいのでは」と感じませんか?実は、購入の場合はまた別の問題があるのです。
賃貸物件でルームシェアで、身体が男性同士のルームシェアは断られる場合があると書きました。なので身体が男性同士のカップルはお互いを生涯のパートナーとして考えるならば、マンションを購入するほうがいいかもしれません。問題は身体が女性同士の場合です。
購入の場合、ペアローンにせよ連帯債務にしろ、住宅ローンを組む必要があります。住宅ローンを組むためには、年収などの審査があり、ローンを組むことができる年収の最低ラインがあるのです。比較的男性のほうが収入が多いことが多いことを考えると、身体が女性同士のカップルのほうが審査が不利ということになります。
これからの部屋探し
今回は賃貸と購入、2つの視点からセクマイカップルの部屋探しについてお話しました。改めて、セクマイカップルというだけで、本来楽しいはずの部屋探しが不安なものになってしまうことが少しでも減らないものかとため息が出ます。
もっとどんな街でどんな間取りでと、ワクワクしながらふたりの暮らしのはじまりを思い描くことができるカップルが増えてほしい。「セクマイカップルなんだから仕方ない」という考え方もあるかもしれないし、今後理解が広がることを踏まえて“いまは”そう思うということもあるでしょう。
しかし部屋探しは暮らしの「衣食住」のひとつ。誰と暮らしていくのかという、とても大切な要素だと思うのです。特にふたり暮らしの入り口になりやすい賃貸での部屋探しについては、もっと門戸を広く、ゆくゆくは購入を考えるカップルも、そうでないカップルも不安なく部屋探しができるようになってほしいです。
そのためにもLGBTフレンドリーな不動産会社と、入居可能にするオーナーさんや大家さんが増えますように。そして、たとえオーナーさんや大家さんが意図していなくても当事者やカップルがすでに入居していることも、考えていただきたいなと思います。
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