性犯罪を助長させる問題発言
そんな各国の動きがみられるなか、日本では先日、立憲民主党の法改正案を取りまとめるワーキングチーム(WT)の5月10日の会合が開催されました。
その会合のなかで議題に挙がった性的同年齢を13歳から16歳に引き上げる法案をめぐり、本多平直(ほんだ・ひらなお)衆院議員が「50歳近くの自分が14歳の子と性交したら、たとえ同意があっても捕まることになる。それはおかしい」と発言し、物議を醸しました。
中学生の年齢にあたる13歳。最近ではSNSを利用して未成年に近づこうとする性犯罪も多く発生しています。また、子どもは大人と比べて力や判断能力、意思決定も極めて脆弱。性交を強いられたとき、自分よりも何倍も大きな大人に対して「No」と言うことはなかなか難しいこと。
大人と子どもでは、権力構造が表れやすい上下関係に脅かされることが考えられ、性的行為を強制する犯罪が起こる可能性は大いあります。
いま、正しい性教育が求められるワケ
法律がなかなか変わらない現状で、性被害を生み出さない社会を目指すために、行われるべきことは「正しい性教育」ではないでしょうか。「性」についてオープンに語られる機会が増えたものの、まだまだタブー視されているように感じます。
日本の保健体育の授業では、ヒトの体の仕組みや変化、受精については学びますが、中学生が「排卵」「受精卵」「初潮」といった単語を聞いても理解できないのは当たり前。性的行為について十分に扱われることはなく、避妊の具体的な方法や性行為の仕方、同意の取り方など、肝心な具体的内容については触れられていないのが現状です。
パートナーができ性的行為について考えることはあるものの、正しい性教育を受けなかったことから、インターネット上で真偽のわからないあふれた記事や、アダルトビデオを教科書代わりにする人が多くいます。SNSに精通している若者でも、正しい情報収集を行える人は少ないのではないでしょうか。
まずは、「性」について正しい認識を伝える教育を普及させることから始めるべきだと感じます。性といっても一概に体を重ねるのみには集約されず、セクシュアリティ、ジェンダー、生理、出産、性的同意、人種など、さまざまな概念が含まれています。
それらすべての概念は、「人権」に関わることであり、自分や相手を守るための大切な情報なのです。また教育だけでなく、保護者も性をタブー視するのではなく、子どもに伝える責任があります。自分の子どもが将来、性的被害にあう可能性があることを想定すると、正しい性について教えることが必要です。