クィアマガジン「purple millennium」を運営し、LGBTQ当事者としての経験や考えを発信しているHonoka Yamasakiです。
西島秀俊さんと内野聖陽さんがゲイカップル役として出演し話題となった『きのう何食べた?』(以下、何食べ)のように、日本でもLGBTQに関するドラマや映画などの作品が増えています。
「何食べ」は、美味しそうな食事を中心にふたりのカップルの小さな幸せが積み重なる日常シーンを丁寧に描き、人気を得ました。このように素晴らしい作品も多数ありますが、実際に当事者はLGBTQに関する作品を見てどのように感じているのでしょうか?
そこできょうは、いくつかの「LGBTQ映画」をご紹介します。さらにLGBTQ映画にみられる“コンテンツとしてのセクシュアルマイノリティ描写”についてもお話します。
セクシュアルマイノリティが直面するあらゆる消費
最近では、映画サービスのカテゴリーに「LGBTQ」が入るほど、多くのジェンダーやセクシュアリティを描いた映画がみられるようになりました。より多くの人が触れるようになったLGBTQ映画。ですが、ときに当事者として違和感を抱くこともあります。
たとえば、セクシュアリティのネタ的扱い。テレビ番組に出演するタレントのなかでも「オネエキャラ」という一種のカテゴリーが存在します。
セクシュアリティで笑いをとりたいタレントもいれば、そうでない人もいますが、ゲイというだけでオネエキャラを求められたり、ネタとして扱われることもしばし起こるのが現実です。
そういったテレビ番組での「オネエキャラ」を規範のゲイ像として当てはめることによって、日常生活でも「ゲイはおもしろい」「ゲイは女性らしい」のような認識をもつ傾向があるように思います。
ですが、さまざまな見た目、性格や仕草をしたヘテロセクシュアル(異性愛者)がいるように、ゲイ含めたセクシュアルマイノリティのありかたは多種多様。「〜である」と総じていうことはできないのです。
テレビ番組や日常だけでなく、映画でも同じことが言えるでしょう。「ゲイ=オネエ」や「ゲイ=女性らしい」といった典型的な像ばかりが投影され、女性的な仕草や言葉遣いをするゲイの主人公が多くみられます。
ゲイが「見える化」したと同時に、ゲイから“狙われる”シーンや、ゲイ疑惑のある人をネタにするシーンなど、必ずしも適切で現実に基づくシーンが描かれているとは言い切れません。
反対にレズビアンを描く作品は、女性同士がカラダを重ねるシーンやキスシーンの美しさに焦点を置かれ、本来の姿とはかけ離れた描かれ方をすることもあります。
「多様性」や「ジェンダー平等」などの言葉を日常的に耳にするようになったいま、セクシュアルマイノリティについて発信する企業側には責任が問われます。