過干渉のタイプ「ステルスコントロール型」
ステルスコントロール型は、前回の「直接コントロール型」とは違い、非常に巧妙に隠されたコントロールのやり方といえます。
親が望むことをズバッと表現するのではなく、正面切って抵抗できないような形に変換しながら遠回しに子どもを支配下に置こうとするものです。
ですから、直接コントロール型よりもわかりにくいため、自分がコントロールされていることにまったく気づかないまま、いつしか非自律的で強い依存的な心理状態になっていることも…。
例えば、子どもが楽しく遊んでいる最中に、わざとあくびをして眠いふりをするとか、わざとスマホを何度もチェックして用事があるように見せかけるとか。あるいは、「みんな」「普通」などの言葉で、あたかも世の中の常識かのような言い振りで、子どもの羞恥心などを刺激してコントロールしようとする。
こうした遠回しなコミュニケーションは、適切に使えば人間関係を円滑にする、とても大切なスキルだし、相手との関係性を深めることにとても役に立ちます。
どういうことかというと、営業マンが「とにかく買ってください!」といきなり売り込むことをしないで、まずは遠回しにお客さまの困りごとを聞き出し、最後に解決策として商品やサービスを提案する。ある企画の決裁を貰いたいということは隠したまま、上司のプライドをくすぐるようなことを言ったり、やったりして関係性を築いてから、最終的に上司の承認を得る。
なんらかの目的を実現するためには、時にこういうコミュニケーションも必要です。
ところが毒親は、こうしたスキルを我が子に、執拗に何度も繰り返し使うことで、支配しようとするわけです。
大人になれば、こういうコミュニケーションにも「きっとなにか裏があるな?」と薄々感じるかもしれませんが、無垢な子どもはそんなことは、そうそう考えもしません。
まさか親に「裏」があるなんて思ってもいませんからね。なので、無自覚に支配されてしまうのです…。
では、ステルスコントロール型の典型的なものを見てみましょう。