こんにちは。垣屋美智子です。現在私はスタートアップ企業の財務・経営支援をするほか、「誰でも今すぐできる」をテーマにマネー、ライフ、キャリアについて執筆、講演活動を行っています。
今回はメルマガ読者の方からいただいた、「Financial Independence(経済的自立)、Retire Early(早期退職)のようなアーリーリタイアで資産運用などを中心にしていく生き方が注目を浴びています。憧れがある一方で、そんなに簡単なものでもないと思いますが、どう思われますか?」とのご質問に答えました。
実際にアーリーリタイアした人たち
90年代にも『金持ち父さん 貧乏父さん』(著:ロバート・キヨサキ/翻訳:白根美保子)がベストセラーになりアーリーリタイアという考え方が流行りましたよね。
その当時の考え方は、「お金に働かせて自分は働かない」というものでしたが、実際にそういった生活を実現した人たちを見ると、30代、40代でアーリーリタイアした最初こそ優雅ですが、すぐに「すごく暇で誰にも会わない人生でつまらない」となり、2〜3年経つとリタイアを撤回して、またバリバリ働きだしています。
若くしてビジネスから引退するのは、やっぱり人生のやりがいを失ったのと同じなのではないでしょうか。
だからと言って、この考え方や金持ち父さんの考え方を前面否定するわけではありません。資産運用に100%頼るのではなく、無理しない働き方を実現しつつ、経済的に自立できるというのを目指していくのがよいと思います。
「無理しない働き方」とはお金のためだけに働くのでなく、自分の喜びのために働いた結果報酬もついてくる働き方で、さらに経済的に自立しているので、辞めたいと思ったときに辞められる状況にあることです。
働き方のステップアップの考え方
そのために大事なのは働き方のステップアップです。まず、ほとんどの人はそもそも何のスキルもネットワークもないところから自らの肉体と時間をつかっての労働がスタートするわけですが、そこからより自分の時間を最小限にしてアウトプットを最大にする効率的な働き方にステップアップしていく必要があります。
- 時給労働(=自分の時間を売る働き方/商品は自分の身体と時間/結果は問われないが時間的拘束が大きい/病気やケガによる収入減のリスク大)
- 年俸労働(=自分の知識やネットワークを売る働き方/商品は自分の経験やネットワーク/日々の時間的拘束が少ない代わりに結果がより重視される/病気やケガによる収入減のリスク中)
- オーナー(=お金を使って労働力を買う/商品は事業/時間的拘束がない代わりに金銭リスクを負う/病気やケガによる収入減のリスク小)
上記を見て頂くとわかるように、どの働き方にもメリットとデメリットがありますが、無理しない働き方で経済的に自立を実現するのであれば、時給労働→年俸労働→オーナーと移行していく必要があります。
さらに、いまのご自身の働き方が上記のどこのカテゴリに入るか落とし込んでいただくと、月給制であっても正社員であっても、時給労働のカテゴリに入る人は多いはず。つまり、そこにいることや労働時間が重要視されている仕事をしている人が多いはずなのです。
特に大企業であれば、社員に個人依存な結果を求める方がリスクですから、ほとんどの人が時給労働になるでしょう。
ここから脱却し、もたらす結果で評価を得られるような収益構造ができれば、上記カテゴリの年俸労働に移り、より時間に自由度が出てくるでしょう。さらに労働で得た収益を投資に回していけば、オーナーになれるのです。
現実的に考えると、副業も許可されている昨今であれば、時給労働、年俸労働、オーナーをミックスした働き方を実現できれば、「無理のない働き方」ができるのではないでしょうか。
それは、たとえば、会社員として時給労働をしながら、フリーランスとして単発で仕事をする年俸労働も持ち、投資などでオーナーとしての収入の確保もするという感じです。
時給労働、年俸労働、オーナーの働き方をミックスすることで、どれかを辞めたくなっても収入源がゼロにならない、無理をしない働き方が実現し、経済的に自立した状況がつくれるのです。
漠然と働いていると時給労働から抜け出せないので、まずは時給労働でない部分をつくること、さらには投資に抵抗感を持たないことが大事だと考えます。
私もキャリアをスタートさせてから時給労働がずっと続いていました。外資系投資銀行で年俸制で働いていましたが、これも性質としては代替可能な時給労働で、会社をクビになったら収入がなくなってしまうという漠然な不安がずっとありました。
会社員から独立して、収入源は複数になり、性質としてもより年俸労働に近づきましたが、実態は時給労働に近い年俸労働。企業などからいただく仕事がいつなくなるかわからないという意味で不安がありました。
ここ2年ほどで、ようやく自らが前面に出なくても価値を提供できる事業を生み出せて、時給労働と年俸労働の割合がよい感じになってきて、それによって経済的な自立というのが少しずつ実現できてきている感覚があります。
私個人としては、今後について、自分の会社で年俸労働とオーナーの働き方比率を増やしていきたいと思っています。
ちなみに、オーナーとしては不動産投資もしています。不動産投資は借り手がいない期間や修繕費が多くかかるときもあり、よいときもあれば悪いときもあります。資産運用の利回りに絞ってアーリーリタイアするというのは、少なくとも5億円くらいの投資資産を持っておく必要があり、私の不動産資産ではまだそのレベルではないです。
結論としては、資産運用だけで経済的自立を目指すよりも、働き方をステップアップさせ、収入源を複数にすることで経済的自立を達成することのほうが長い人生のなかでは大事かと思います。
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