予想できる私らしい人生を送るよりも
私を幸せにするのは私しかいない。そう腹を括った私は行動に移した。
仕事における不安は経済的な余裕のなさと相まっているため、まずはそれを一気に解決することにした。働いたのだ。仕事人間は働くしかないと思った。もちろん、休業は続いていたため「営業してませんが働かせてください!」というわけにはいかないので、副業を始めた。
緊急事態宣言中でも不要不急ではないもの。それは、ウーバーイーツドライバーだった。部屋にこもらず身体を動かせるし、疲れるから眠れるし、お金も稼げる。
ウーバードライバーは配達した距離の長さによって給料が決まり、チップ制度もあるため頑張った分だけ結果が出た。やっていくうちに自分で決めたノルマを達成する喜びを持ち、その結果が毎日自分の自信となっていた。
先行きが見えない仕事への不安は、もうひとつの選択肢を持つことで解決した。リンパオイルセラピストの資格を取ったのだ。ウーバードライバーは自由な時間で働けるため、勉強時間の確保ができた。手に職をつける資格を取ることでいつでも安定した収入を得られる安心感を持つことができた。
そして恋愛においては、自分の気持ちに向き合った結果、やはり長く付き合っていた彼がいちばん好きなのだと気づかないフリをしていた自分を素直に認めてみた。彼にもう一度連絡をすると同じ気持ちだということを打ち明けてくれた。
私はいま、ウーバードライバーを卒業しアロマセラピストとして働き、来年には結婚が決まっている。
コロナ禍によって変わった私の未来。いまでもたまにコロナがこの世に存在しなかったときの世界線を想像したりもする。でも、コロナ禍という世界線に生きるいまを悔いたことはない。
どうしたって変えられない不可抗力は存在し、けれど自分で変えられるものは確かに存在するからだ。そして、もしコロナが存在しなかった世界では予想していなかったいまを生きているからだ。
予想できる私らしい人生を送ることよりも、予想できなかった人生を生きる方が私らしい。そんな風に考えたら、鬱々とした空気や先の見えない不安とも戦っていける気がする。どんな過去も現在も未来も、私を幸せにするのは私しかいないのだから。
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