クィアマガジン「purple millennium」を運営し、LGBTQ当事者としての経験や考えを発信しているHonoka Yamasakiです。
近年、LGBTQ(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クィア・クエスチョニング)の可視化とともに、恋愛指向・性的指向に関する「アセクシュアル(他人に性的感情をほとんど抱かない)」「アロマンティック(他人に恋愛感情をほとんど抱かない)」についても語られつつあります。
いままでは、人を魅力に感じる感情が恋愛感情と性的感情の2つであることが一般的に述べられてきましたが、これら両者の感情を(ほとんど)抱かないセクシュアリティも存在します。
とはいえ、従来語られてきたほかのセクシュアリティと比べると認知度が低いのが現実。そこできょうは、「アセクシュアル」「アロマンティック」について改めて確認してみましょう。
「アセクシュアル」「アロマンティック」とは
では、アセクシュアル、アロマンティックについて具体的に解説します。
- アセクシュアル(Asexual):他人に性的感情を(ほとんど)抱かない
- アロマンティック(Aromantic):他人に恋愛感情を(ほとんど)抱かない
「Aセクシュアル」「Aロマンティック」とも表記することができ、それぞれにつく頭文字の「A」は打ち消しの意味をもちます。アロマンティックは恋愛感情を示す単語なので、自認する人のなかでは性的感情を抱く場合もあり、アセクシュアルとは異なります。
さらに、アセクシュアルでありアロマンティックである、すなわち性的感情と恋愛感情を(ほとんど)抱かないセクシュアリティは「アロマンティック・アセクシュアル(Aromantic Asexual)」と表現することができます。
もともとは海外からきた言葉で、日本ではアロマンティック・アセクシュアルを「アセクシュアル」とまとめていうこともあるそうです。これは、「恋愛=性的関係を結ぶこと」といった日本独特の認識からなってできた解釈だと考えられます。
アロマンティックを象徴する旗
LGBTQを象徴するレインボーカラーのフラッグは有名ですが、実はアロマンティクのフラッグも存在するのをご存知ですか?
アロマンティックフラッグは、緑、黄緑、白、グレー、黒の5色で構成されており、各色に意味が込められてます。
“ロマンス(恋愛)”を意味する赤色との反対色である緑色に、“セクシュアリティの多様性”を意味する灰色と黒、プラトニックなカラー、白が加えられているのです。
そのほかのセクシュアリティもチェック
アセクシュアル、アロマンティックのほかにも、以下のように性的感情・恋愛感情を示すセクシュアリティはさまざま存在します(参考:Job Rainbow MAGAZINE)。
- ノンセクシュアル(Romantic Asexual):日本特有の呼称。他者に恋愛感情を抱くことはあるが、性的感情は(まったく)抱かない
- デミセクシュアル(Demisexual):強い愛情や友情など一部の場合にのみ、性的に惹かれる
- デミロマンティック(Demiromantic):強い愛情や友情など一部の場合にのみ、恋愛的に惹かれる
- リスセクシュアル(Lithsexual):他者に性的感情を抱くが、相手からその感情を返してもらうことを望まない
- リスロマンティック(Lithromantic):他者に恋愛感情を抱くが、相手からその感情を返してもらうことを望まない
- グレイセクシュアル(Graysexual):セクシュアルとアセクシュアルの中間に位置する。性的感情を抱くのかどうかは明確ではない、人生で数回しか性的感情を抱いたことがない人など。
- グレイロマンティック(Grayrimantic):ロマンティックとアロマンティックの中間に位置する。恋愛感情を抱くのかどうかは明確ではない。人生で数回しか恋愛感情を抱いたことがない人など。