みなさんこんにちは、コミュニケーションの講師の山本衣奈子です。私が講師業を始めてから約15年になりますが、必ず年に何回かはこの質問を受けることがあります。
それは、「緊張してうまく話せなくなってしまうので、緊張しない方法を知りたい」というものです。今回はこの質問に答えていきます。
緊張は、よりよくするための「スパイス」
気持ちはわかります。緊張って、落ち着かなくてあまり心地のよいものではないですしね。
でも結論から言いますと、緊張しない方法はありません。
…なんて言うと身も蓋もないですが、正確には緊張するのは当たり前で、それはむしろいい傾向です。かえって緊張感がなくなると、ダラけた話になりやすく、相手を飽きさせる原因になりかねません。
「緊張しないようにしたい」と思うということは、「緊張するのはよくないことで、緊張するからうまくいかない」と思っているのではないでしょうか。
たしかに過度の緊張で思うようにできなくなるということはあるかもしれませんが、だからといって、緊張しなければ完璧にうまくできるかというと、必ずしもそうではありません。
なぜならば、結果を左右するのは、緊張の有無以上に「できる」という自信や、「大丈夫」だと思える根拠や、「なるようになる」といういい意味での開き直りだったりするからです。
緊張は、言ってみればスパイスです。かけ過ぎたら舌が麻痺して大変なことになりますが、適度に加えると風味を増してさらに美味しさを際立たせることもあります。
そして、スパイスはできあがった料理に加えるものであって、料理そのものではありません。
“明確なメッセージ”や“想い”といった具材があって、“自信”や“根拠”や“工夫”といった調味料で調理して、“開き直り”で味を整えたうえで、適度にスパイスを入れて完成。
あまり緊張にばかり気を取られていると、それ以前の“準備”に目がいかなくなってしまいます。準備不足で自信が足りないから、焦ってスパイスを入れすぎてしまうのです。ベースの味が整っていれば、スパイスはコントロールできます。
うまくいかないのは緊張のせいではなく、「まだやれることがあるから」だと考えてみてください。
心の底から「できる」「やれる」「大丈夫」と思えるまで、徹底的に繰り返すだけでも違ってきます。
やれることはやりきる。緊張を抑える方法がもしあるとしたら、それが唯一の方法かもしれません。でも、スパイスはあったほうがよくないですか?
先にも書いたように、かけすぎると悲惨です。適度な心地よいくらいのちょうどいい緊張は、むしろ持っておくほうが相手の舌を魅了し、伝わることに繋がりますよ。
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