クィアマガジン「purple millennium」を運営し、LGBTQ当事者としての経験や考えを発信しているHonoka Yamasakiです。
女性の政治家が圧倒的に少ない国、日本。立候補者数自体が少ないことから、女性が主体的に政治に参加したくないと考える人もいるかもしれません。ですが、その背景にはさまざまな原因が隠れており、女性が政治に参加する機会が奪われているとも考えられます。
政治の場だけでなく、家父長制(家族のなかで絶大な権力をもつ者が男性たる家父長である家族形態のこと)が根強く残り、男女による役割が当たり前のように存在している家庭もあるのではないでしょうか。
2021年の男女格差を測るジェンダーギャップ指数(Gender Gap Index: GGI)では、日本は156カ国中120位と先進国で最低レベルのスコアを出しました。
ジェンダーギャップ指数は「経済」「政治」「教育」「健康」の4つの分野から統計結果が出され、特に政治分野は数値が低迷している要因としてあげられます。
とはいえ、なぜここまで政治分野におけるジェンダーギャップが著しいのでしょうか。今回は、「ジェンダー」と「政治」をキーワードに、日本におけるジェンダーによる格差について言及します。
男女平等先進国「ルワンダ」
まずは、列国議会同盟が調査した、下院における女性国会議員数をもとに、日本と各国で比較してみましょう(参考:Monthly ranking of women in national parliaments)。
2021年11月の統計では、日本は193カ国中165位。265議席中45席が女性と、極めて低い結果となりました。
1位はルワンダで、80議席中49席。ルワンダは発展途上国でありながらも、男女平等の観点からは先進国ともいえるトップレベルでした。
世界の先進的な取り組みのひとつとして、指導的機関では少なくとも30%の女性が占めることが憲法で定められています。
日本は「G7」と呼ばれる先進7カ国のなかでも、ジェンダーギャップ指数は最下位。2020年の下院女性議員数を比べてみると、世界平均25.6%に対し、日本はたったの9.9%と大きく遅れをとっています。
世界各国では年々女性議員数の母数が増えてきているのにもかかわらず、なぜ日本は長年に渡って10%以下にとどまっているのでしょうか(※サイト上では、1997年から2021年までのアーカイブデータが閲覧できます)。
政治分野における女性の活躍
世界的にみても女性議員数が少ない日本ですが、なぜ政治分野における女性の活躍がみられないのでしょうか。
ここでいう「女性議員が少ないこと」に直結している背景は、「女性候補者が少ないこと」です。
そこで浮き上がるのが、「そもそも女性が議員になりたがらないんじゃないか」「候補しないのは女性であり、日本のジェンダーギャップに関係しない」という意見。
ですが、日本のジェンダーギャップに関わる歴史的背景や社会構造を知ると、女性候補者が少ない理由が、実は女性の意思によるものではないことが見えてきます。では、その理由を詳しくみていきましょう。
無償のケアは女性の仕事という前提
日本では、性別役割分業の考えがいまだに強く残っていることから、いまだに「妻は家庭・育児、夫は仕事」という前提のうえで男女の役割が区分されがち。
2020年の男性育児休暇取得率は過去最大を記録するものの、それでもたったの12.7%(雇用均等基本調査)であることや、第一子の出産による女性の離職率が2019年に42.1%(全国就業実態パネル調査)であるなど、女性、男性ともに影響を及ぼすことがわかります。
家事と仕事の両立が厳しいことで、働きたくても働けない女性が多く存在することは、政治分野でも同様に言及できるでしょう。