“第三者”が入る調停の意味
夫の申し出はBさんも当然つっぱねたことから面会交流の条件にはならず、「これで離婚後にお金を要求されても断れる」とBさんはため息をつきました。
本心を言えば、娘と夫を会わせることに不安はあります。それでも、娘が望む限りは面会交流をやるべきだと思うし、そのためなら多少のストレスは我慢する覚悟です。
気持ちを聞いた調停委員は大きく頷いてくれたそうで、その姿がまた、Bさんを勇気づけました。
「私はね、夫に何も求めていないのよ。そんなの無駄だと実感してきたから。あの人は無茶な要求を突きつけて、逆に大恥をかいたと思うわ」それを思うとスカッとするの、と言ってBさんは笑いました。
離婚調停は、ふたりで話し合うのではなく調停委員という第三者が入ります。そんな場で自分にとってだけ都合のいい要求が通そうとするのは難しく、「常識を前提にした妥協」を考えられるのがメリットといえます。
一方で、調停委員や裁判官からの提案があっても双方が納得しない限り調停不成立となる(離婚が成立しない)ことも多々あり、早く終わらせたい一心で不利な条件でも承諾してしまうなど上手くいかない場合も考えれば、臨む人には相当の精神力が求められます。
離婚は自分の“身分”にまつわる人生の一大事です。
悔いなく進めるためには、冷静に状況を見る、早めに弁護士に相談するなど、急ぎたくても時間をかけることを考えましょう。
何よりも、自分自身が“正しい常識”を持つことが、周囲を味方にする最大の武器だと心得たいですね。
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