これは僕と彼女が歩んだかもしれなかった未来
冒頭に書いた通り、僕は『かけおちガール』の第一話を読んで「僕たちが歩んだかもしれない未来だった」と思いました。
僕とパートナーである彼女は中学生のころに、クラスメイトとして出会いました。
お互いの特別な友人という期間を経て、在学中に交際をスタート。高校は別で、気持ちがすれ違ってしまい別れていた時期もありましたが、互いに離れることができず、友人としても恋人としても関係を続けていきました。
そのため、どうしても高校生のももとみどりちゃんが愛を育む姿に、当時の自分たちを重ねてしまいます。
僕たちが関係を続けられたのは、必然ではなかったと思います。別れている期間もあるのだから、そのままももとみどりちゃんのように関係を断っていたことも考えられるでしょう。
実際、僕は自分はともかく彼女はいつか男性と結婚するのだろうとも考えていました。
大学生のころにその考えを拗らせてしまい、「いつか一緒にいられなくなってしまうなら、いま誰か彼女をさらってほしい」なんて考えたこともあります。
僕には届かない、見えなくなるくらいどこか遠くまで。本音を言えば、友人として彼女の近くで誰かと幸せになる彼女を見ていられる自信がなかったのです。
それが大人になり、少しずつ世の中が変わったことで僕たちはパートナーとして一緒にいる選択ができました。
もしも世の中が変わっていなかったら、彼女ではなく男性と結婚していたかもしれません。そんなもしもを考えるといま一緒にいられることがとても尊いものだと改めて感じます。
『かけおちガール』は、複雑だけどまっすぐな恋愛作品
もしも、ももがみどりちゃんをきちんと思い出にできていたら。
もしも、あの日みどりちゃんのかかりつけの眼科が休診日ではなかったら。
もしも、たずねくんがもっとみどりちゃんを大切にできていたら…。
ももとみどりちゃんの物語は、いくつもの“もしも”を潜り抜けてふたたび繋がりました。
みどりちゃんに結婚式の招待状を渡されたももがどう受け止めていき、みどりちゃんが自分のなかの孤独とどう向き合うのか。そしてふたりの愛がどこへ向かっていくのかをぜひ見届けてください。
本当にオススメです。百合作品を読んだことがなくても、恋愛作品として楽しめると思いますので、気になったかたはぜひ読んでみてくださいね。
- かけおちガール
- 著:ばったん/販売:講談社
- 公式サイト
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