夫のモラハラなどが原因で、妻の心に大きな負担がのしかかり、めまい、不眠、耳鳴り、身体の火照り、動悸、不安感などさまざまな症状が現れてしまう「夫源病」。
夫からの大きなストレスは心を傷つけ、妻を追い詰めていくのです。今回は、そんな夫源病に悩んだ5人の女性たちのエピソードをご紹介。
彼女たちはどのようにモラハラ夫に苦しめられたのか、そしていま、どんな暮らしをしているのか。じっくり見ていきましょう。
完全リモートになった夫のモラハラで毎日が憂鬱に…
「数年前から完全リモートワークになった夫。それまでは夫婦円満で目立った喧嘩もなかったのですが、このリモートワークがきっかけで夫婦仲が崩壊しました」
そう話してくれたのは、生後10カ月の子どもを持つAさん(29)です。
「平日はほぼワンオペで、夫が育児に協力してくれることはありません。ワンオペ自体は苦ではなく自分のペースを作ってやれていたのですが、夫が家にいるとそのペースがガラリと崩れ、ストレスがたまるようになりました」
1人のときは子どものペースに合わせながら家事を効率よくこなすなど、ある程度1日の流れができていたんだそうです。
しかし夫がリモートワークになると、思うように進められないことが増えてきてしまいました。
「まず朝、子どもが起きる前にさっさと洗濯をまわして干してしまいます。しかし夫は『朝は仕事が忙しくて洗濯の音がストレスだから、昼に回してくれ』って言うんです。
あと子どもが泣いていても、どうしても手が離せなくてすぐに駆け付けられないときってあるじゃないですか。トイレとか、料理で火を使っているときとか。それも『うるさいから早く泣き止ませて』って言われるんです」
ようやく安定してきた子どもとの暮らしを、「仕事の邪魔だからなんとかして」と言ってくる夫。さらに…
「子どもの昼寝のタイミングを逆算し、お昼過ぎまでお散歩をして帰ってきたら、『俺の食事を用意してほしいから、この時間に散歩に行くのはやめて。行くならお弁当を用意して』って。これまで昼は社食がほとんどで、お弁当を用意するとなると、私はいまよりもっと早く起きなければいけません。
夫が在宅勤務で通勤時間が減っても、夜の寝かしつけ担当が私なのは変わらないし、夜泣き対応もすべて私。寝不足でボロボロなのに、さすがにこれ以上の早起きは厳しいです…。そのためいまは子どものお散歩にいくのも、時間を気にしながらになってしまいました」
そして極めつけが、夫からの心ない一言。
「夫が仕事中トイレに立つとき、リビングの様子を毎回のぞきに来るんです。私が子どもと遊んでいたりDVDを見ていたりしたら『楽そうでいいな、暇なんだね』っていうんですよ…」
それ以来、夫から何かいわれるたびにイライラし、さらには体調を崩すようになったAさん。早く在宅勤務が終了してほしいと、ずっと願っているそうです。
監視夫にイライラ、めまいが止まらず「ストレス」と診断
「昔から、私の行動をとにかく把握していないと気が済まない夫でした。出かけるなら、どこで誰と何をして何時に帰ってくるのか、細かく報告しなければいけません。それだけなら別にいいのですが門限も決められていて、少しでも遅れるとものすごく機嫌が悪くなります」
そう話してくれたのは、小学生の子どもを2人持つBさん(40)です。夫の厳しい監視とフキハラ(不機嫌ハラスメント)に悩まされているといいます。
「嫉妬と勘違いも激しく、すぐに不倫を疑ってくるところもあります。職場の上司と仕事のやりとりをするのでさえ快く思わないようで、夫の前ではスマホを触るのがNG。少しでも見ようものなら、それから1週間は口をきいてくれません」
夫が不機嫌にならないようにと、日々気をつけながら生活してきたBさん。しかしあるときから、めまいや動悸などの症状に悩まされるようになりました。
「ママ友たちと子連れで食事して、大盛り上がりしたことがあったんです。当初は夕方に帰る予定でしたが夕飯の用意にもかなり余裕があるし、1時間だけ遅くなると連絡しました。
でも、事故渋滞にハマって30分オーバーしちゃったんですよね。帰ったら怒鳴られ、子どもを連れて遊びまわるなんて母親失格だと罵られ、私だけ家に入れてもらえませんでした。それからです、不調を感じるようになったのは」
なんとBさんは、夫の顔を見るだけでボロボロと涙があふれてきてしまうように。
「何かおかしいと思って病院に行ったところ、ストレスが原因だと言われました。薄々感づいていましたが、これまでの夫の態度が私のなかで長年ストレスとして溜まっており、あの日の怒鳴り声がトリガーとなって爆発してしまったんです。病院の先生には、ストレスの種を取り除くべきだと言われました。つまり…離婚とか、別居ですよね」
しかし子どもたちのことを考えると、なかなか最初は踏ん切りがつかなかったそう。
子育てにはお金もかかる。子どもに迷惑をかけるくらいなら自分が我慢すればいいんじゃないか…Bさんが頭を悩ませている、そのときでした。
「子どもに『こわいから、パパに話しかけるの苦手』といわれたんです。それを聞いたときに、子どもにそんなこと思わせる父親なんていらないなって思いました。私が我慢すればいいと思っていたけど、もうすでに子どもに我慢させていたんだなって…」
それから夫に診断書を突き付け、離婚を要求したというBさん。現在話し合いは平行線のようですが、Bさんの不調と子どもたちの思いを聞いてからの夫は、徐々に変わろうとしてきているそうです。