配偶者と離婚したいけれど、意思が揃わなかったり条件で折り合いがつかなかったり、協議で決めるのが困難なときに利用できるのが離婚調停です。
当人が申立人となり家庭裁判所に申請して開かれる離婚調停は、自分だけで進めるのが大変なときに身内や友人が助けてくれるとありがたいですよね。
一方で、身近な人だからこそ口を挟まれすぎて混乱することがあり、かえって調停の進行が遅くなるなどのトラブルも発生します。
今回は、身内や友人が関わったことで大変な思いをしたケースについてご紹介します。
- これまでの「離婚調停」
- LINEのスクショを浮気の証拠にしたら…不倫夫の衝撃的な要求【本当にあった離婚調停】
- 「妻がベッドで相手をしないのが悪い」夫の不倫の言い訳に離婚調停委員が出した提案
- モラハラで離婚。調停委員が激怒した、夫のありえない要求とは…【本当にあった離婚調停】
- 夫の浮気で泥沼離婚。借金を抱える“シタ夫”は身内と共謀して…【本当にあった離婚調停】
- 勝手に作った借金400万の半分を払えと言う夫。非常識な主張に離婚調停委員が出した提案
- 夫の不貞行為で離婚。裁判員が「非常識」と激怒した、ありえない要求とは…
「俺は法律に詳しいから」と出しゃばる兄
「夫が暴力を振るう人で、子どもが産まれて家事などを十分にできなくなってからは、さらにひどくなりました。
夕食がスーパーのお惣菜だっただけで皿が飛んでくるようになり、耐えきれず赤ちゃんを連れて実家に逃げました。
夫のDVをずっと黙っていた私に両親は驚きましたが、実際に腕や足にあるアザを見て『離婚するべき』と言われ、別れることを決意しました。
実家に戻って以降は夫から毎日電話がかかってきて、留守電に脅迫のようなメッセージを残されるので本当に恐ろしく、父親に対応を任せていたのですが『離婚は絶対にしない』と言われたので調停を起こすことにしました。
調停室に入れるのは自分か代理人だけであり、調停委員と私が話さなければいけないけれど精神的に参っていてとてもそんなエネルギーはなく、両親は『弁護士に代理人を依頼しよう』と言ってくれました。
それに口を挟んだのが兄で、『弁護士に頼むなんてお金がかかる。俺は法律に詳しいから一緒に行ってやる』と止めるんですよね。
『身内でも調停室には入れない』と言ったら『お前は体調が悪いからとか言えば大丈夫だろう』と制度をまったく理解しておらず、本当に当事者しか調停委員と話はできないとわかってからは『じゃあ俺がメモを作ってやる』と話し合うべき項目を考えてくれました。
ところが、財産分与について生命保険の返戻金やクルマのローンがある場合など全然知らなくて、一覧は穴だらけ。
『年金は減るが諦めるしかないな』と言うので『離婚後に相手の承諾なく分割ができるよ』と返したら不機嫌になる始末で、法律に詳しいのではなく単純に出しゃばりたいだけなんですよね…。
知識がないのに勝手に筋書きを作ろうとする兄に両親が怒り、最終的に弁護士に依頼しました。
兄は最後まで『お金がもったいない』とブツブツ文句を言っていたけど、費用をケチって大きな損をするほうが私は嫌だし、何より調停室で一緒に調停委員と話してくれる弁護士の存在は本当に心強かったです。
DVの証明ができて慰謝料を払わせる約束もして、無事に離婚が成立しました。兄に頼っていたら、絶対こうはならなかったと思います…」(女性/37歳/小売業)
身内の離婚話に割り込んでくる親族は本当に多いですが、なかでも厄介なのがこの「自称法律に詳しいきょうだい」です。
身内の心配をするように見えて、実は自分の知識をひけらかしたいだけというケースもあり、うかつに信用すると思わぬ損を招くことがあります。
法律は素人の手に負えるほど簡単なものではなく、離婚は人生を左右する一大事ならプロである弁護士の意見が重要です。
気持ちはありがたいとしても、専門家でないならむやみに信じることはせず、自分の力で動くことも納得する離婚には欠かせないといえます。