銃社会のアメリカだからこそ…
そういえば、タイムリーなニュースが最近私の身の回りでもありました。
隣人の飼っている犬の鳴き声に、我慢の限界を通りこし、飼い主宅で大暴れした70代の男性。少し前にも犬の鳴き声、吠えかかりに腹を立てた隣人が、夜中に犬をハンマーで殴りつけたとか。どれも「その場で文句を言わない」時代だからこそ起きているのだと思います。
私の近所に、飼い犬にリードをつけずに歩く人がいます。注意をしたいのですが言葉を選びながら、注意喚起しなければ、「仕返し」を受けたり、嫌がらせをされる可能性も十分にあり得るのです。
たとえば、この前もジョギング中(私は犬を連れていなかった)、オフリードでいつも犬を散歩させている男性に私はこういう言い方をしました。
「賢い犬ですね!何歳ですか?オフリードでも、車道に飛び出したりしないんですか?」と彼の犬を立てたあとで「いいですね~。うちにも犬がいるんですけど、うちの子はほんとにバカで、犬とか見ると攻撃的になるんですよ」と、あえて自分を蔑むのです。
相手の男性が「何犬飼ってるんですか?」と聞いて来るのを待って…。その答えに対して、「マスチフです。70kgある大きい狂暴な犬でしてね」なんて言いながら、「うちの犬を見かけたら、避けてくださいね!リード付けてくださいね!じゃないと、うちの犬が襲ったりしますから、オタクの大事なワンちゃんに怪我させるといけないんで…」という言い回し。
これ、腹の中は全く違うわけで、腹の中での悪態をここに書いておきます。「うちの犬だって、オフリードくらいできるんじゃい!でも安全のためにリード付けてるんじゃい!」という感じ。
あえて相手を立てる…こういう回りくどい言い方は、アメリカでは自分の身を守るためでもあるのです。決して臆病なわけではありません。我慢に我慢をし、耐えて耐えて、己に嘘をつき話しています。
理由は「相手を怒らせると、何をされるかわからない」から。そういう時代だから。相手は近所に住んでいる人、私の住所なんて簡単に調べられてしまいます。ここはロサンジェルス。銃社会のアメリカ。
腹の中の思いを正直にぶつけると、殺される場合だってあるのです。相手がまともな人であるかどうかなんて、見た目ではわからないし、そもそも常識がないからこそ、自分の犬のことだけしか考えない。
大人になるということは、腹の中を隠して相手と接することが必要となるのです。