みなさんこんにちは。韓国に暮らして14年、私は現在ソウルで留学生対象にシェアハウスを運営しています。
20年前、私が初めて韓国を訪れたとき。空港からソウル市内へ向かう道路沿いに、ドミノのようにびっしり立ち並ぶ高層マンションを見て、日本とは全く違う風景にとても驚きました。韓国を訪れたときに、同じように感じた人も多いのではないでしょうか。
さて、韓国で「家を買う」と聞く大体がマンションを想像します。韓国は日本よりも土地面積が狭く、住まいとしては一軒屋よりも3LDや4LDなどファミリータイプのマンションが主流だからです。
きょうは、この「韓国のマイホーム事情」についてお話します。
韓国でマイホームを買うのは「裕福」でないと無理?
マイホームを購入するきっかけとなるのは、やはり結婚だと思います。しかし、新婚時には家を買うような経済的余裕がない場合が多いです。
そこで、まず「チョンセ」という賃貸契約の家を探します。
以前もお話しましたが、チョンセとは「多額の保証金を預けて、家賃が無料になる韓国独特の賃貸システム」です。
保証金は契約満期で全額返金されるため、韓国ではチョンセ物件がいまでも人気。
しかし、チョンセ物件の契約期間は基本2年。契約更新時にオーナーから、数千万ウォン(日本円で約数百万円)単位のチョンセ保証金の値上げを要求されることも少なくありません。
別のチョンセ物件へ引っ越すとしても、その都度引っ越し代、不動産仲介手数料がかかることもあり、大体の夫婦が「子どもが小学校に入る前に何とか家を買って落ち着きたい」と、マイホームの購入を考えるようになります。
ソウル市内のマンションは、中古でも5億ウォン(日本円で約5,000万円)超え。新築だと10億ウォン(日本円で約1億円)以上で、特にソウルの中心を流れるハン河を挟んで南側の高級住宅地「瑞草(ソチョ)区」や「カンナム区」のマンション価格は30億~50億ウォン(日本円で約3億円〜5億円)まで上がる場合もあります。
一般市民には、とても手の届く金額ではありません。裕福な家庭でない限り、簡単にはマイホームを購入することはできないと思います。
高い!それでも購入する人が多かった理由
そこでほとんどの人が、銀行から「不動産住宅担保融資(ローン)」を利用します。購入する家(マンションや住宅)を担保にしたら、銀行から住宅購入資金の融資を受けることができるのです。
韓国ではコロナ禍前の2018~2019年ごろ、 この不動産住宅担保融資を住宅購入価格の8割ほどまで受けられた時期もありました。
当時の不動産住宅担保融資の金利は2%後半から3%代。ソウル中心地の新築マンションの家賃相場と比べたら、銀行へ払う利子は決して払えない金額ではありませんでした。
また、当時韓国の不動産価格は上がり続ける一方だったため、銀行から融資を最大限受けてマイホームを購入した数年後に、さらに高い価格で売却することができれば、毎月利子を払ったとしてもプラスになったのです。
同じころ、韓国人の友人夫婦(夫は会社員、妻は専業主婦の一般的な家族です)が、ソウル駅まで車で20分程の「麻浦(マポ)区」の住宅地に新築マンションを購入しました。
マンション周辺は、学校やスーパー、スポーツセンターなどがあり、生活環境も充実していました。マンション価格は聞けなかったのですが、周辺相場からみて、8億~10億ウォン(日本円で約8,000万円〜1億円)ほどだったと思います。
「正直高かったけど、マンション価格は上がる一方だし、買えないほど高くなってしまう前に買った。ソウルだし、麻浦区ならまずマンション価格が落ちることはあり得ないから…」と言ってたのが印象的でした。
ちなみに同じころ、私の家の近く(ソウル市西大門区)で売り出された、分譲価格9億~10億ウォン(日本円で約9,000万円〜1億円)前後の新築マンションはあっという間に売れていました。
私が当時賃貸で住んでいた築20年の中古マンション(3LDK)の価格も、2014年時点では3億~4億ウォン(日本円で約3,000万円〜4,000万円)ほどでしたが、2018〜2019年ごろには6億ウォン(日本円で約6,000万円)にまで上昇。
「マンション価格は今後落ちるはずがない」と思っていた人がほとんどだったと思います。