こんにちは。メンタルトレーナー&心理カウンセラーの吉田こうじです。大人になってもあなたを苦しめる『「毒親の呪縛」を本気で断ち切る実践トレーニング』を連載しています。
本記事内に登場する「毒親」とは
子どもに対する拒絶、侮蔑、無視、過干渉、虐待などによって、子どもの心身に罪悪感、劣等感、不安感。過剰な義務感、不足・欠乏感、羞恥心、無価値感などのネガティブな思考や感情を継続かつ執拗に植え付け、それによって子どもを「自分の所有物」かのようにコントロールする親のこと。また、「親」とは実の親のみならず、「親代わり」の身近な人も含めます。
毒親からの評価を「内面化」してしまう子どもたち
今回は、毒親の心理的な呪縛について「内面化」という心の仕組みを取り上げながら掘り下げます。
本能的に親を無条件に信じ、しがみつく以外に生きる術がない子どもは、親のいうことをそのまま素直に信じ込みます(もちろんそうじゃない個性を持ったお子さんもいます)。
なので、親から「お前のせいでこうなった」と言われれば、自分になんらかの落ち度があったとか、自分が悪いんだと当然のように思うでしょうし、親から「お前のことなんて誰も相手にしない」と言われれば、まわりの人に無意識に媚びることで何とか相手にしてもらおうと頑張ったり、あるいは最初からまわりの人と親密になることを諦め、人を避けることで身を守ろうとしたりするでしょう。
あるいは、「お前になんかやれっこない」と言われれば、自分は無力で無能な人間だということを信じて、劣等感や無価値感を育んでしまうこともあるでしょう。
こんなふうに、子どもは親から自分に対しての評価判断を無批判に受け止め、それを疑うことなく信じてしまうのです。
私たちの脳は、人から言われたことを、よくも悪くも頭の中にまずはそのまま取り込んでしまいます。ポジティブな言葉や評価も、ネガティブな言葉や評価も、とりあえず区別することなく脳に収納してしまうのです。
取り込む過程や取り込んだのちに、「本当にそうなんだろうか?」「本当は違うのではないか?」などと疑念を持つ機会は無数にあるかとは思いますが、とりあえず言われたことを理解したり、場合によっては反論したりするためにも、一度は受け入れます。
このとき、疑念を持たずに、あるいは持ったとしても最終的に「その通り!」と信じて受け入れ、最初から自分のものとしてあったものかのように「真実化」「信念化」してしまうことを「内面化」といいます。
たとえば親から「お前のせいでこうなった」と言われ、それを「真実」として「内面化」した子どもは、次に何か親が不機嫌にしているのを見たとき、自動的に「自分のせいで親の機嫌が悪いのか…」と、たとえ親から直接そう言われていなかったとしても、自ら自動的に、そして当然であるかのようにそう思ってしまうのです。
ザックリ言うなら、この「内面化」こそが、「毒親の心理的な呪縛」を生み出している大きなカギと言えます。