自己肯定感が「ない」子どもたち
「本当にお前はダメなやつだ」と親に言われたことを内面化していると、自分自身が考えたり行動することに、自動的、反射的に「どうせ何をやってもダメなんだ」「やるだけ無駄なんだ」というレッテルを貼りつけてしまいます。
現実にはできていたとしても、過少に低い評価判断をするばかりか、否定的、屈辱的、被害者的な側面から一方的に解釈し、かつその解釈が真実(事実)であるかのように自動的に信じてしまうのです。
言い換えるなら「自分イジメ」で、これが習慣化した状態が、「みじめ中毒」ですね。
はなっから当然のように自分を否定したり、自分をイジメているわけですから、いわゆる自己肯定感を感じることもありません。
ここ、重要なポイントです。
自己肯定感が高いとか低いとか以前に「そもそも感じることがない」のです。感じることがないのですから、上げることができないのは当然です。だって「感じない」ということは、最初から「ない」のと一緒ですからね。「ない」ものは上げようがないのです…。
ただ、幸いなことに「感じることがない」だけで、「そもそも自己肯定感が存在しない」わけではありません。
内面化した自己像の手放しかた
さて、こんなふうに、ネガティブ(否定的・自虐的・被害者的)なものを幼少期から内面化してしまったことの影響は、大人になっても続いていきます。
ポジティブ(自己肯定的)な自己評価をすることや、ポジティブな自己価値を持つことが著しく阻害され、対人関係にもネガティブな影響を受け続けてしまうのです。
とはいえ、こうした親から刷り込まれ、いつの間にか内面化されてしまったネガティブな自己像は、その内面化されたものを一度意識に登らせ、適切なものに修正していくことで手放すことができます。
ただし、自分にとっては当然すぎるくらい当然で、それが真実だと信じ込んでいるものを意識に登らせること自体、そもそも容易ではないですし、たとえ意識に登らせることができても、真実だと信じ切っているものを修正するのは、さらに難易度が高いといえます。
しかし「内面化」とは、言い換えれば、無自覚の「習慣」「癖」であり、「反応パターン」といってもいいものです。
そのため「新しい習慣」、「新しい癖づけ」などによって、「新しいパターン」を地道に、継続的に、そして確実に身につけていけば、内面化されたネガティブな呪縛から自分を開放することは誰もが可能なのだという「未来への一筋の光」があるということは絶対に忘れないでくださいね。
次回の『「毒親の呪縛」を本気で断ち切る実践トレーニング』は2021年9月29日公開予定です。
【連載】『「毒親の呪縛」を本気で断ち切る実践トレーニング』
【1】「生きづらさ」の根本にあるものは…?私の幸せを阻む「毒親」の呪縛
【2】私は「毒親」育ちだったのか?いま、生きづらさの原因を考える30の質問
【3】親の不仲も不機嫌も「自分が悪いせいだ」と思って育った、毒親育ちの人へ
【4】毒親に言われ続けた「あなたのため」。その支配から抜け出すための、はじめの一歩
【5】わけもなく不安になる。毒親育ちが無意識の苦しみを手放すためのワーク
【6】人が怖い、居場所がない、価値がないetc…毒親育ちの持つ悩ましい感覚
【7】私は何をやってもできない人だ。毒親育ちの悩ましい思考の手放しかた
【8】だから僕は、人が怖い。毒親育ちが「生きづらい」人生から抜け出すまでの道のり
【9】離婚したのは、僕のせい?「親の離婚」で傷ついた心の癒し方
【10】それって本当に子どものため?親の「責任」と「過干渉」のボーダーライン
【11】家庭内につくられたヒエラルキー。子どもを弱者に仕立て、支配する親たち
【12】対人関係がシンドイ。側から見ると順風満帆な彼の人生が“難あり”なわけ
【13】支配的な父親に従ったエリート役員の人生が、中年期に危機を迎えたわけ
【14】父親のDVは家族だけの秘密。なぜ毒親家庭は崩壊していくのか?
【15】愛情と苦痛はワンセット。大人になっても抜けない毒親育ちの思い込み
【16】いい親子関係を築けなかった子は、友人関係や恋愛でつまずきがちなのか?
【17】親に“いい子”の期待を押し付けられた子は、なぜ人生につまづいてしまうのか?
【18】家族のからかいがイジメに。自称「ダメ人間」な彼女の、悲しい生い立ち
【19】「無条件の愛」を与えられずに育ったあなたが、心の空洞を埋めるヒント
【20】東大に行け、官僚になれ…親に命じられた“責務”を全うしたエリートの「その後」
【21】毒親の呪縛を抜け出し「自分らしく生きる」ために、今日からできること
【事例1】鬱の母と、子に頼る父。毒親と共依存していた彼女が、親子の縁を断ち切るまで
【事例2】気づけば、3度目の離婚。彼女が「ダメンズ」ばかりを選んでしまったワケ
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