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こんにちは。メンタルトレーナー&心理カウンセラーの吉田こうじです。大人になってもあなたを苦しめる『「毒親の呪縛」を本気で断ち切る実践トレーニング』を連載しています。
本記事内に登場する「毒親」とは
子どもに対する拒絶、侮蔑、無視、過干渉、虐待などによって、子どもの心身に罪悪感、劣等感、不安感。過剰な義務感、不足・欠乏感、羞恥心、無価値感などのネガティブな思考や感情を継続かつ執拗に植え付け、それによって子どもを「自分の所有物」かのようにコントロールする親のこと。また、「親」とは実の親のみならず、「親代わり」の身近な人も含めます。
健全な家庭と毒親家庭の違いとは
健全な家庭と、毒親が支配する不健全な家庭の決定的な違いを、たったひとつだけ挙げるとしたら、それは「個人の自由意志を尊重するか、無視するか」という点に尽きるんじゃないかなと考えています。
健全な家庭であれば、子どもの個性を尊重しながら、責任感や忍耐力、道徳感、自立心などが育めるように家族が関わっていきます。
それによって子どもは、「自分は大切で価値ある存在だ」「自分は必要とされている存在だ」「失敗しても許容されるし守られる存在だ」という自分に対する肯定的な評価(セルフイメージ)や肯定的な自尊心を育んでいきます。
一方、毒親が支配する不健全な家庭では、個々人が自分の気持ちや意思を表現することを禁じられ、むしろ自分のことよりも毒親のことを最優先にするようにコントロールされます。
親の期待、要求通りの思考や行動を取らないと、途端に逃げ場のない不快な状況に追い込まれる…。
毒親にコントロールされていく子どもたち
こうした家庭環境では、支配する側(毒親)はいつでも自由に服従する側(子ども)に踏み込みコントロールすることができるため、子どもは自分が本当はどうしたいのかがわからなくなります。
- 自分と他人を分けるための「境界線」をうまく築くことができない…。
- 他人との距離感がわからない…。
- 他人がズカズカ心の中まで土足で踏み込むことを阻止できずに振り回される…。
- 自分を肯定的に評価できないから、他人のちょっとしたひと言にもグサグサ傷つき、そんな自分を情けなく感じ、そんな自分をさらに自分で責める…。
- 他人との関係性がうまくいかないから、余計に家族間の「病んだ絆」にしがみつくことで、なんとか自分を保とうとする…。
そうやって、なんとか自分のポジションを維持するために、子どもが「相手の顔色に敏感に反応する」「相手が喜ぶためなら自分を犠牲にする」というサバイバル戦略を自然と身につけることは、ある意味、必然ともいえます。
毒親家庭をサバイバルするためには、たとえ異常だとわかっていても、家独自のルールを敏感に察知し反応するようになるし、それらのルールをことさら順守することを自分に義務づけるようにもなります。
そうやって、「偽りの家庭」という幻想の中で毒親のルールに従ってさえいれば、病んでいるといえ「家族的な絆」「偽りの安心」「偽りの愛情」などを得ることができるので、余計に家族間の歪んだ絆は強化されていくのです。
ひとり暮らしをしたり、結婚して家を離れたりするなど自立に向かう行為は、「偽りの家庭」を壊すことになるので、そうした考えは自ら封印し、さらに自立から離れてしまうことも…。
とはいえ、どんな家庭でも家族内に暗黙のパワーバランスのようなものはあると思います。
ただ、健全な家庭のパワーバランスとは、「安定」「安心」「愛情」「平穏」「尊厳」などの秩序を保つために、個々人が主体的に賛同し維持しようと思うものなのですが、毒親が支配する不健全な家庭では、毒親を頂点にした、いつ崩れてもおかしくない砂上の楼閣を維持するためのパワーバランスが存在します。
言うなれば、いつクーデターが起きてもおかしくない政情の中で、毒親が無理やりそれらを制圧している独裁国家みたいなものですね。
さて、毒親を頂点とした砂上の楼閣を維持するためのパワーバランスが、なんらかの理由(子どもが結婚するなど)で崩れそうになると、毒親は激しく抵抗することがあります。