こんにちは。韓国在住歴4年、日本語教師でライターのHAZUKIです。Webメディア「by them」で、韓国の今を切り取り、生の情報をお届けしています。
今回は、韓国の社会問題について書いていこうと思います。韓国はいま、少子化、高齢化、就職難、地価の急騰、独身主義の増加など多くの問題を抱えています。
そのなかでもあまり注目されていない問題が、高齢女性たちの苦労です。2016年に放送された、『バッカス・レディ』という映画をご存じですか?Netflixでも配信されている、韓国でかなり注目された作品です。
売春をしてそのお金で生活する高齢女性「バッカスおばあさん」の生活が描かれています。昔は多かったバッカスおばあさんたちも、最近は韓国政府や多くの団体が支援を行ったこともあり、かなり減りました。
この問題は最近では解消されつつありますが、韓国の高齢者が抱える問題はまだまだあるのです。
子育てがやっと終わったのにまた子育て
韓国に来て、筆者が驚いた光景があります。ベビーカーを押しながら歩いていたり、子ども手をつなぎながら歩いているおばあさんたちが多いことです。
韓国では、最近は子どもを産んでも働く夫婦が多い(というよりそれが当たり前)です。
育児休暇は大手企業でも3年ほどですから、子どもが4歳になって幼稚園に預けるとしても最低限の世話をしてくれる人が必要になります。そこで自分の親たちに子どもを任せて仕事をする人たちがとても多いんです。
育児となればやはり男性より女性のほうが慣れているため、どうしてもおばあさんたちの負担が多くなります。
おばあさんたちが育児が大好きで進んでやるのなら問題ないですが、育児を任せるために家に呼んだり、親に預けることを想定して子どもを産む夫婦もとても多く、筆者はそれを聞いてとても複雑な気持ちになりました。
筆者の韓国人夫には妹がいて、娘が来年小学校です。妹夫婦は共働きなので、「家で娘を見てくれないか?」と相談していました。
義母は「私にも私の人生がある」と断ったそうですが、ドキュメンタリーやニュースをみてみると自分の子どもにそう提案されるとどうしても断れない人が多いのが現実です。
孫の面倒を見るとなると、どうしても同居しなければいけません。いままではうまくいっていたのに、毎日顔を合わせるようになってから婿や嫁との関係が悪くなってしまったという人も多いようです。
老後の蓄えがない
韓国は教育熱が高いことはこれまでもお話ししました。
日本では大学に入った後は子どもが自分でおこずかいを稼いだり、家に余裕があっても、あえて貸与奨学金を利用して大学にいく人も多いですよね。
韓国では最近は少し変わってきてはいますが、やはり子どもの面倒はいつまでも親が見ます。結婚式の費用を親が出したり、新婚のときに住む家の支援をしてあげることも多いです。
昔はそうしてあげる代わりに、親が年をとったら子どもたちが親の面倒を見るということでバランスが取れていました。
しかし最近は、若い人たちも就職がむずかしく、自分一人でも精一杯。親の面倒なんてとてもじゃないけれども見ることができない状況です。
さらに年金もどんどん少なくなっているので、高齢者たちが年をとってから貧困になってしまうということもあるようです。
韓国政府は高齢者も働けるように仕事の環境を整えていますが、頑張って子を育て、仕事が終わった後にまた仕事をしなければいけないのは大変そうです。これは親も子どもも心が痛いですね…。
きょうは、韓国の隠れた社会問題について書いてみました。ほかにも住宅問題や少子化、高齢化問題についてもお話しするので、そちらもぜひご覧ください。
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