こんにちは。垣屋美智子です。証券アナリストとして10年間従事した後、現在はスタートアップ企業の財務・経営支援をするほか、事業分析力と会計知識を生かし「誰でも今すぐできる」をテーマにマネー、ライフ、キャリアについて執筆、講演活動を行っています。
きょうは、メルマガ読者の方からの「評価に繋がらない雑用を押し付けられている」というご相談にお答えしました。
読者からの質問:評価に繋がらない雑用を押し付けられる
女性が私だけの部署で、新人指導、他部署との調整、クレーム対応など、評価に繋がらない手間がかかる業務が常に私のところにきて引き受けています。
ほかの同僚は上司に指示をされても、あえてやらないのか、できないのか、結果として私に指示が飛んできます。
そして私はしっかりその仕事を処理するので、さらに私に指示が飛んできてしまいます。
私の上司とのコミュニケーションが間違っているから、こういうことになっているのでしょうか?
自分の業務の評価に繋がらない仕事をずっとさせられているのは不本意です。アドバイスいただければと思います。
考えることは2つ
これは、ジョブ型雇用をしていない日本の職場でのあるあるかもしれないなと思います。
つまり、必要な業務であるにも拘わらず、担当者がおらず、結果、職場では雑用のような扱いになり、それをやる人は不満を抱えるという構図です。
さらに気になるのが、職場で女性が1人だけということで、「調整役は女性の方がいい」というような間違った前提のもとに、ご質問者さんが任命されている点。そしてご質問者さんがしっかりこなすことで、「雑用」が回ってきている可能性もある点です。
このような状況に私がいた場合に考えることは、2つ。
- 上司に不本意な旨が伝わっているか?
- その雑用を自らの経験として活かせるか?
です。
不本意な旨を伝える
私も同じような不本意な業務を行う経験をしまして、とある会社に新卒で入社したときの役職は役員秘書でした。
役員秘書は私にとって不本意な仕事でしたから、その旨は会社にも役員にも入社時に伝えました。定期的な面談でも、将来的に私は違うことがしたい旨は伝えていました。
会社としては、私が「役員秘書という仕事が大好きになり、これをキャリアのなかで全うしたい」と言い出したら願ったり叶ったりだったと思いますが、そうはならず、1年後に他部署に異動しました。
ですから、不本意であることを伝えるのは重要だと思います。
言い方として、感情的なことは伝えず「評価に繋がらないからやりたくない。自分が頑張りたいのは本業です」と、シンプルに論理的に伝えるのが大事だと思います。
私も最初から役員秘書は望んだ仕事ではない旨を伝えていたので、担当していた役員との相性とか性格の問題とかそういう感情的な話として捉えられなかったのは、正しいアプローチだったと思います。
また、そんなこと上司に面と向かって言えない、言うなら解決策も提案しないと、と思うかもしれませんが、「いますぐ辞めさせてほしい」などと解決策を提示する必要はないと思います。
なぜなら、上司にとって使いにくい部下になるのは、上司部下の関係において、悪影響だと思うからです。
あくまで、本業を頑張りたいのに評価もされない雑用に時間を取られ、本業に集中できないことが不本意と伝えるだけ。
上司が不本意なことを知らないで放置しているのと、知っていて放置しているのでは上司の責任問題としての程度が変わってくるので、根気よく面談などで定期的に伝えることです。
面談シートなどがあるのであれば、それに書き、書面に残しておくのもよいと思います。
悪気があって行っているわけではない可能性もありますし、自らのガス抜きにもなります。
自分のなかで我慢しないことで、確実に空気感は変えられます。
その「雑用」を自らの経験として活かせるか
まず、他部署との調整や新人指導など、人と関わる業務を任せられているということで、それはそれで会社の評価制度では評価されないかもしれませんが、人脈づくり、ネットワークづくりには活かせそうと感じます。
特に質問者さんは与えられた仕事をしっかり処理できているとのことですので、仕事ができる人という評価を他部署や新人は持っているのではないでしょうか。
私も、秘書から他の部署に異動したのですが、それは開発部のなかにあるビジネス課。ようは、開発部で拾えないビジネス案件をビジネス課という課でやるのですが、その内容が開発部のエンジニアにとっては雑用。
しかし仕事の内容は、海外企業との投資案件や協業案件の審査や交渉。
当時は、雑用扱いに自尊心を傷つけられましたが、いまはファンドで海外企業に投資したり、協業審査をしたり、それが私の本業になっています。
当時、雑用扱いだった仕事が実はファンド業務で、15年経って独立ネタになるとは思っていませんでした。
職場が違えば、花形な業務も変わるのです。いまは転職や部署異動など考えていないかもしれませんが、キャリア転換のネタには確実になっているのではないでしょうか。
もし、絶対雑用が活かせないと思ったり、本業で頑張りたいと思うのであれば、それもよしです。
ただ、業務のなかで自分がやりたい仕事が100%できている人なんていないので、であれば、雑用の部分も将来何かに役に立つかもと思いながらやることは、自分のなかのワクワク感に繋がりますし、仕事を楽しくする処世術になるかと思います。
やりたくないことを伝えるというより、常に夢を語る
しっかり与えられた仕事を処理できる質問者さんは、プロフェッショナルとして当然なことをしていて正しいと思います。
ただし、やりたいこととの乖離がある時に妥協せず、自分の希望(夢)を常に皆に伝えておくことは、周囲のサポートを得るうえで大事です。
また、控えめな振舞いをしているのであれば、自己主張型に切り替えてください。仕事をしっかり処理しているからこそ、自己主張できる権利があり、主張が通りやすくもなります!
- 垣屋美智子の「キイトク」より
- https://www.mag2.com/m/0001688023
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