こんにちは。垣屋美智子です。証券アナリストとして10年間従事した後、現在はスタートアップ企業の財務・経営支援をするほか、事業分析力と会計知識を生かし「誰でも今すぐできる」をテーマにマネー、ライフ、キャリアについて執筆、講演活動を行っています。
今回は、「会社員が起業する際の心得」についてお話しします。
実際、独立なんて、そんなの自分には関係ないと思っている読者のみなさんもいるかもしれません。
でも、いまだと60歳定年ってまだまだ全然元気ですからね。その割に60歳になって再就職しようと思ったって、絶対に雇ってもらえないわけです。
ですから、社長になれないなら、早めに独立する必要があるんですよ。
とはいえ、社長になって60歳定年してしまったら、それはそれでできることは限られてくるのですがね…。
会社員が独立する際の5つの心得
ということで、早めに独立・起業するための心得。
それはシンプルに「自分に憑依している会社員プライドを除霊すること」。
知らない間に憑依しているんですよ、会社員プライド。プライドを捨てるなんて、そんなシンプルな話ではないんです。
ということで、その方法として「会社員が独立する際の5つの心得」をご紹介します。
1.事業よりも自分自身を売れるか
会社員って、いろいろ看板持たせてもらってますよね。
私が会社員時代に社外にプレゼンするとしたら、プレゼンしたいものの本題だけでよかったのですが、独立すると、自分の紹介から始まり、自社の事業の紹介をして、最後に本題という感じで、本題に進むまでに20分はかかります。
本題に入るまでに20分かかるということはですよ、事業なんて何だっていいんです。20分のイントロ段階で引き込めなければ終了なので。
そこを誤ってしまっている人が非常に多くて、「この事業、絶対売れると思うんです」と言う人が多いのですが、それよりも、いかに事業の話までもっていけるか、そのストーリーが立てられないなら、起業は無理です。
2.自分のインフルエンサーに自分がなれるか
1に続きますが、先日相談を受けた人は、実績はばっちりなのですが、大企業在籍時にメディアなどに出ていなかったので、有名ではないと。
彼いわく、「メディアに出てべらべら自分の功績を話すのって、承認欲求満たすみたいでダサいじゃないですか」と。
たしかに大企業の人が、まるで自分のプロジェクトのようにメディアで話されていても響きません。
でも、独立したらそれをやらないといけないのですよね。しかも大手メディアは扱ってなんてくれないので、自らSNSを頻繁に更新して、生存を常にアピールするみたいなことが大事になってきます。
ダサいですか?でも、これをやらないで誰があなたを発見してくれますか?
3.ファンクラブをつくれ
会社員としての実績は、ほぼ評価されません。
独立するって、本当の意味で看板のない人物として勝負をするということなのです。
いままで友達だと思っていた人たちは、あなたの看板ありきで付き合ってくれていたのかもしれないし、経費で飲めるから楽しかったのかもしれません。
それなのに、経歴以外の部分で自分自身を売らないといけないとしたら?
その意味で、まずは自分のファンクラブができるかどうか。独立した自分を応援してくれるファンクラブもつくれないのに、自分自身や事業を売るのは無理です。
4.それって独立しないとできないことなんですか?
「絶対いい事業だと思うんですが、会社の理解がなくプロジェクトが終わってしまいました。なので、独立してやってみようと思います」みたいな方も居るのですが、まず自社も説得できなかったのに社外で顧客をつけることができるのかは疑問。
もちろん、会社に本当に理解がなかっただけかもしれませんが、第三者のせいにしている段階で独立起業するマインドになっていないかも。
5.雑用は全部自分でやる覚悟ができているか?
オフィスの掃除、請求書の支払い、決算、出張手配、アポ取り、ロゴづくり、名刺づくりなど、サラリーマンであれば各部署でやってくれるものを自分でやらなければいけません。
また、法務部もないので、弁護士などへの相談も自ら行わなければいけません。
私の行っているファンド事業は金融業なので、さまざまな場面で法律に沿った形でやらなければいけません。
弁護士にむやみやたらに何でも相談すると、1時間5万円のフィーを分単位でチャージされ、10分の電話で1万円チャージされたり、最悪です。
ですから、相談する前に全部自分で調べて、最後に問題ないかの確認だけを弁護士事務所とやるのは当然のことです。
でも、リモートワーク時、自宅で、当時大手投資銀行に在籍していた夫と隣同士で仕事をしており、夫にふと法律的な部分をどう思うかと相談したら、「そういうのは普通顧問弁護士に相談してみるべきでしょ」と言われてブチ切れたことがあります。
「お前、独立してその方法でやってみたら、まず破産するからな!」と言ってやりました。
以上、私が考えるサラリーマンが独立する際の5つの心得です。
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