「あの人は自分よりずっと年上だから、きっとわかってくれないだろう」
勤め先の上司や上席、親や親戚など自分よりも年齢が上の方に対して、そう感じた経験はありませんか?
特に女性が仕事を頑張ることについては、「理解してもらえないだろう」と考えたことは?
今回は、お仕事映画の名作『マイ・インターン』をご紹介します。キャリアを大切にする女性や、年齢に対して前述のように考えてしまったことのあるかたには特におすすめしたい作品です。
『マイ・インターン』あらすじ
たったひとりで始めたファッション通販サイトがブレイクし、若くして成功を掴んだ女性社長・ジュールズ。
そんな彼女の会社では、福祉事業の一環としてシニアインターンを雇うことになり、ジュールズの部下としてやってきたのが、70歳の男性・ベンでした。
「私、高齢男性は苦手なの」はじめはそう言ってベンを敬遠していた彼女に、仕事とプライベートとの両面でそれぞれ危機が訪れます。思い悩んだそのとき、彼女に寄り添ってくれたのは…。
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女性とキャリア
「働き方改革」と言われ始めて久しく、新型コロナウイルスの流行により出社が難しい場面の増加に伴い、リモートワークを取り入れる企業が増えました。
働き方に選択肢が増える一方で、女性、特に家庭を持つ女性がキャリアを積んでいこうと考えると、その風当たりは未だに強いように感じます。
ファッション通販サイトを運営するジュールズもまた、その風当たりの強さを感じているひとり。
『マイ・インターン』は、「女性が仕事を愛してはいけないの?」という悲しい疑問にも答えてくれる作品です。
家族と過ごしている時のジュールズの振舞いからは、夫と娘への深い愛情が感じられ、彼女が家族をとても大切に思っていることがよくわかります。
しかしそんな家族と同じくらい、仕事にも誇りを持って愛している。
自らの手で、それもたったひとりではじめた事業を、多くの社員を抱えるまでに育んできたのだから当たり前です。
愛する家族のいる家庭と、やりがいのある仕事との両立を測り、バランスをとろうと日々奮闘しますが、周囲の目は思うようにいきません。
出資者たちは彼女のうえにCEOの席を設けることを望み、彼女を理解しないママ友からはチクチクと意地悪に感じる言葉を投げかけられます。
そのうえ、家事と育児の一切を引き受け、支えてくれている夫も家庭に不満を募らせているようで…。
彼女ははじめは苦手に思っていたベンとの交流を通じて、自分が仕事と家族の両方を愛することについて見つめていきます。
台詞としての表現はなくとも、苦手だと思っていた対象と対話することで、夫とも向き合うことが大切であると改めて感じたのではないでしょうか。
男性が仕事を頑張りたいと思うように、女性にも仕事を頑張りたいと思う人はいるし、頑張りたいと思っていい。
仕事と家庭の両立を望み、全力で励むジュールズの姿を見ていると、共感できるしきっと元気をもらえるはずです。
無意識的に差別していないか
定年退職後の余生を楽しんでいたベンは、妻に先立たれてしまいます。
それからは、自分が楽しめること、やりがいを感じられそうなことはなんでもやってみました。
「自分は不幸ではない、心にぽっかり空いた穴を埋めたいと思っているだけ」そんな風に居場所のなさを感じていたときに、ジュールズが経営する企業のシニアインターンの募集を見つけ、無事に採用されます。
彼は前向きに仕事に向き合い、仕事を与えられなくとも自ら声をかけ仕事を探し出す。
自分よりもずっと若い同期や先輩たちへの接し方も柔らかく、誰に対しても親切で、職場に早く馴染めるように意識し、行動も伴っています。
作中に登場する若い社員たち同様、観ている私たちにとっても「ベンのような人と一緒に働きたい」そう思わせる存在であり、「それに比べて私の上司は…」とつい比較したくなってしまう対象。
ジュールズはそんなベンの人柄に気づくまで、「高齢男性は苦手」と年齢差別的な考えを持っていました。
「この人は高齢だから新しいことは何もわからないだろう」とか、その逆で「若いから何もわからないだろう」なんて、年齢を理由にその人のことを決めつけてしまう。
別名「エイジズム」とも呼ばれている年齢に対する差別は、年齢に基づいたさまざまな差別や偏見を指す言葉で、誰もが持つ可能性のある考えです。
筆者もこの年齢差別の考えを持ってしまったことがあり、そのときのことを思い返して「無意識的に差別してしまっていたな」と反省します。
ジュールズだけではありません。ベンを面接した数人のスタッフやジュールズの秘書のベッキーも、はじめは無意識的にベンが高齢者だからと決めつけた考え方を持っているようでした。
彼が周囲の仕事を手伝ったり、求められたうえでアドバイスをしたり親切に接するのを見たり体感していくにつれ、次第に年齢で決めつけるような言葉はなくなっていきます。
理解を強いることはもちろんよくないことだけれど、だからといって年齢を理由にわかりはしないと切り捨ててしまうこともよくないこと。
年齢が自分よりもうえでもしたでも、理解を得られないかもと思ったときにはその理由が年齢ではないか一歩立ち止まって考えることを心がけたいものです。