気がつけば30代。結婚を考える時期に
亜紀:かれこれ10年も遠距離恋愛してて、気がついたらもう30歳っていうときで。
編K:20代のほとんどを彼と過ごしてましたもんね。でも、どうして結婚しなかったんですか?
亜紀:私は生活基盤を崩すことができなかったの。お互いやっぱり仕事が大事だったのよ。でもね、今までの関係がずっと続くほど私たちも若くなかった。
亜紀:彼とも今後について話したの。これから私たちどうするって。そしたら私に韓国に来て家庭に入ってほしいって言われたの。
編K:でもセンパイは日本に残った。
亜紀:私もキャリアを捨てたくないし、結婚してもこの仕事は続けたかった。ましてや彼が日本に来てもいい仕事に就けるとは限らない。彼は韓国で働いてて、私は日本で働いてる。本当はずっとこのまま一緒にいれるんだって思ってたけど、そんなに現実は甘くない。お互い求めるものがあって、捨てれないものもあった。それがわかったとき、お互い泣きながら別れを選んだの。
編K:それから数年して今の旦那さんと出会って結婚したのですね。
亜紀:変な話よね。10年間もずっと同じ人を愛してたのに、たった数ヶ月しか付き合ってない人と結婚を決意したんだから。もちろん旦那のことは愛してるし、尊敬もしてる。でもまだソジュンが軍隊から送ってくれたたどたどしい日本語の手紙を捨てられずにいるのよ。
編K:別れてから、ソジュンさんはどうしてるんですか?
亜紀:フェイスブックで知ったんだけど、1年前に韓国人と結婚したみたい。
編K:お互い、それぞれの道を選んだのですね。
亜紀:ずっと夢をみてたみたい。テレビで『デイ・ドリーム・ビリーバー』って曲がCMで流れると、ソジュンのことをいつも思い出すの。彼が好きだった曲だからね。さ、今日はここまでにしてもう一軒飲みに行くわよ!
大好きなボーイフレンドとの思い出深い10年間。20代という貴重な時間を一人の人に捧げたセンパイ。近そうで遠い国に住む彼のことを忘れられないまま、荒木町の夜は明けていくのでした。
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- ※初出:2019/02/27・TRiP EDiTOR
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