人間関係の改善、日常生活や仕事に役立つ情報を実体験を通してご紹介している前田泰章です。今回、メルマガ読者のMさん(千葉県、40代、男性、会社員)からこんなご相談をいただきました。
読者からの相談:仕事も家庭もうまくいかず、将来が不安
仕事と家庭がうまくいかず、不安で不安でしかたがありません。
仕事ではやりたくない仕事をやらされ、家庭では妻との仲がよくなく、会話がありません。会話がないので喧嘩にもなりません。寝室も別です。「子どもがいなかったら離婚していた」とまでいわれたこともあります。
将来のことを考えると、漠然とした不安に襲われます。怖くてできませんが、「もうこんな人生終わりにしたい」という考えも出てきています。
その不安をまぎらわすために、お酒の量がかなり増えました。お酒を飲むとそのときは気分がよくなるのですが、酔いがさめると余計に不安が強くなります。
情けない話ですが休日は家族サービスもできず、パチンコやパチスロ、ギャンブルにはまっています。趣味もなく、ストレス発散と思い始めたのがきっかけで、やめられなくなってしまいました。
自分でもどうしていいのかわかりません。アドバイスをいただけたら嬉しいです。
「フォーカシング」という心理療法
ご相談いただき、ありがとうございます。Mさんなりに不安の原因は分析できているようですね。その不安を解消するために、お酒やギャンブルをしているので、その行動がよい悪いは別として、不安の対処はできているようです。
ただ、このままでは苦しい現状が続くことは目に見えています。最終的に不安を解消するためには、仕事と家庭の問題に向き合って、何かしらの行動パターンを変える必要があるのです。
段階を踏んで、少しずつ変えていったほうがいいでしょう。まずは、お酒とギャンブル以外の方法で、不安を対処する方法を見つけていきましょう。
ある男性会社員の事例ですが、仕事のストレスからアルコールの量が増えてしまい、「このままではまずい」と思い、僕のカウンセリングを受けました。数回のカウンセリングのなかで、「フォーカシング」という心理療法がその男性にはマッチしました。
フォーカシングとは、言葉にはできない微妙な感覚に注意を向け、そこから言葉を出していく作業のこと。私は、胸のあたりにモヤモヤするなんともいえない重い感覚があったので、まずはその感覚に「モヤモヤくん」と名前をつけました。
胸に手をあてて「モヤモヤくん」と話をしてみると、「モヤモヤくん」はこういいました。
「あなたの体が心配、体をいたわってね。でも不安な気持ちがあるのなら、お酒を飲んでもいいんだよ。僕、ガマンするから」。正直、その男性はびっくりしたそうです。てっきり「モヤモヤくん」に怒られると思っていたからです。
お酒をたくさん飲んで、体に無理をさせていた自分のことを本気で心配してくれていた「モヤモヤくん」の気持ちを知って、行動を改めるようなりました。1日に缶ビール5本、焼酎3杯以上は毎日飲んでいたのが、3カ月のカウンセリングで、週1回の肝休日を作れるまでになりました。
その後も、不安な気持ちは時々出てきましたが、胸に手を当てて「モヤモヤくん」と会話をすることで、不安な気持ちはおさまるようになったといいます。また、お酒を控えることで、家族と話をする時間も増えたそうです。