「決めない」と決めて感じる幸せ
「性別を決めない」と決めてみると、途端に僕を支配していた悩みが減ったように感じました。もちろん身体の性別でいえば同性である彼女のことを社会的にオープンにはしていないし、法的に結ばれることはいまの法律ではありません。いまは一緒にローンを組んで住宅を購入して暮らしていますが、配偶者ではありません。
こういった法的なことは、相変わらず悩ましいことが多くあります。それでも自分の性が何か、アイデンティティに大きく関わる部分を自分の意志で決めることができたことで気持ちが安定した部分は大きかった。
特にファッションや自己表現に関しては、性別を決めないことにしたあとのほうがずっと楽しめています。フォーマルなドレスやスーツは、パンツスタイルのレディースアイテムを着るし、そこに昔ほどの抵抗はありません。
普段はメンズファッションを好んで、仕事場が比較的服装が自由なところというのもあってメンズアイテムを身に着けて働いています。レディースファッションにもメンズファッションの「どちらにも」、自分に似合うものがあるとわかったからかなと思います。
もしも性別を男女どちらかに決めてしまっていたら、レディースファッションもメンズファッションもどちらか一方は楽しむことができなかったかもしれません。性別によってファッションを固定する必要は本来ありませんが、僕はそのくらいかたくなになってしまっていました。
僕の場合は性別を決めないからこそ、ファッションも好きに楽しむことができるようになったといえます。ファッションだけではありません。性別にこだわらなくなったら、いわゆる「かわいい」キャラクターグッズや小物が好きになってしまったんです!
男性的なアイテム、たとえばガジェット系も以前から好きで、それと同じテンションでかわいいものを愛せるようになっていました。もしかしたら、自分で好きになるものにすらブレーキをかけてしまっていたのかもしれません。
好きなものが増えると、それだけ楽しみも増える。楽しみが増えると、無理をせずに少しずつ幸せだと思える瞬間も増える。だから僕は悩んでいた学生時代よりも、好きなものを好きといって暮らせるいまのほうがずっと幸せです。信頼できる、愛するパートナーとも一緒に居られるし。
自分の性別がはっきりしないということは、人によってはとても不安なことだと思います。もし同じような不安を抱える人がいたら、決めないという選択肢、決まらなくていいという選択肢もあることを伝えたい。たとえ性別を決めなくても、僕は僕であり、あなたはあなたなのですから。
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