こんにちは。垣屋美智子です。現在私はスタートアップ企業の財務・経営支援をするほか、「誰でも今すぐできる」をテーマにマネー、ライフ、キャリアについて執筆、講演活動を行っています。
今回はメルマガ読者の方からこんなご質問をいただきました。
読者からの質問:仕事も「石の上にも三年」か?
「石の上にも三年」という古いことわざがありますが、最近は向いてないことや苦しいことを努力して成し遂げようとするよりも、得意なことを伸ばしたり、楽しいと感じられる仕事をしたほうがいい!という考えのかたが多いかなぁと感じます。ちなみにわたしも同感です。
でも最近その線引きって結構難しいと思っています。続けるのも自分、やめるのも自分の判断という状況も多いのではないかと思います。どのように判断すべきなのかなぁと…。
美智子さんは、あんまり楽しくない、向いてない気がするっていう仕事をどこまで頑張るのか、もしくは全然頑張らないのか、お聞きしたいです。
「石の上にも三年」より大切なのはゴール設定
ご質問ありがとうございます。「石の上にも三年」って、何か人生で悩んだときに思い浮かぶことわざですよね!私も会社を辞めるかどうかみたいなときに、幾度となく思い浮かんだものでした。
ただ、この3年という指標ですが、3年やれば何かを得られるでしょうという指標に過ぎず、何も得られないと思えばできるだけ早く辞めて切り替えるほうがよいですし、2年やっても3年やっても得られるものは同じと思えば2年で辞めてもよいとも思います。
「これ人生において意味ないなあ」と思って3カ月で辞めて自分の人生のなかではなかったことにして新たな目標を見つけるか、「何かここで掴もう」と思って数年間頑張って何らかしらの実績をつけるか。
つまり、辞めるか続けるかの判断というよりは、ゴールをどこに設定するかが大事だと思います。
私の場合は、辞めて次の道を選ぶのも新たなゴール設定が必要になりますし、次の環境がうまくいく保証もないので、どちらかというと、悩んだ場所で、自分が納得できる目標を設定して、何かを得ようと思うタイプです。
新卒ではソニーに入社して、自分の意に反して役員秘書としてキャリアをスタートしましたが、入社直後に退職は選択せず、「自分は今後普通の方法では出世できないし、とにかくソニーでしかできない自分オリジナルなキャリアをつくる」という新たな目標を設定しました。
その後5年間で異例の5回の社内異動をして、役員秘書から開発部、経営企画部を経て、「開発と経営を両方経験し、さらに役員会議を調整をする秘書だったのに役員会議に参加するメンバーになった」というオリジナルな実績をつくって退職しました。
このオリジナルなキャリアは、私がその後アナリストとなるうえでは、大企業の状況というのをさまざまな部署から実際に経験したという意味で企業分析に役に立ったと思います。
そして、20年弱経ったいまでは、投資銀行での経験とソニーの経験を融合させて新たな事業を自らつくるうえでのきっかけにもなっています。
そういう意味で、当時、想像していたのと違う職種に配属されても試行錯誤で自分なりの目標を作ったのはよかったと思っています。
ちなみに、よく転職早々にもといたところに出戻る人がいますが、これも切替の早さで言えば素晴らしいと思う一方で、私の人生のオプションにはない選択肢です。
私にとって転職とは、いまいる会社では自分の目標が達成済み、もしくは達成できないと判断して新しい環境にいくことであり、「ちょっと違った、戻ろう」と思うということは目標達成を先送りしているだけだからです。
ですから、仕事をするうえでは辞めるか否かの決断ではなく、どういうゴール設定をして自分のやっていることを動機づけられるかを大事にしています。
「楽しいを仕事に」ほど継続性に不安
次に、仕事において、あんまり楽しくない、向いてない仕事を頑張るかどうかという話ですが、好き嫌いや向き不向きは仕事においてはあまり関係ないと思っています。
最近の「楽しいを仕事に」など、「好きこそものの上手なれ」的な仕事の選び方は個人的には大反対です。
もちろん「好き」がきっかけになるのはよいことだと思うのですが、「お化粧好きだから化粧品会社の仕事」など「好き」「楽しい」という、ともすれば一時的な感情で続けられるほど仕事は楽ではないですし、得意と思うものほど挫折を感じやすいというのもあります。
好きや向いていることを理由に仕事をするより、環境や周囲から与えられた仕事というのをまずやってみる、そこで求められる仕事で結果を出す、というところから自らのやりがいというのを探っていくというのもアリだと思います。
仕事をするうえで一番大事なのは結果を出すことで、結果を出すためにどんな方法でもよいのでやってみたら、そこから新たな自分が見えてくるというのはあると思うのです。