私が毛を剃る理由。刷り込まれた女性らしさと脱毛
いまから考えれば、それほど体毛があるわけではないのにツルツルのスネがほしかったのは、自分が女性だと自覚したことがきっかけだったと思う。
テレビやおしゃれが大好きだった私は、女性性を強く刷り込まれていた。私たちの子どものころは、インターネットで多くの選択肢から好きなものを見るという行動パターンはなかったため、マスメディアのなかで映っている自分と同じ性の人間と全く同じことをしなければならない、そしてその価値観が正しいのだと思い込んでいた。
ドラマで見るあの人も、街ですれ違うあの人もみんなツルツルのお肌を持っていて、だったら私もそうでなくてはならない。そんなふうに価値観を決めつけられて、コンプレックスを知らぬ間に作られたという人もいるのではないだろうか。
幼少期の体毛コンプレックスは、成長とともに自由に除毛グッズを手に入れることで解消してきた。そして、ツルツルピカピカがほしいという欲望は色褪せ、ある程度気になったらカミソリで剃ればいいやと思うようになった。
そう思えるようになった一因として、女性として生きることの多様さを思い知ったことが挙げられる。
大学時代の友人たちは芸術大学だったということもあり、個性豊かな人たちだった。どれだけアイデンティティを出して生きていけるかを競っているような人たちで、外見だけ着飾っても中身のなさを指摘されてしまうような環境だった。
そんな環境で生きていると女子同士で脱毛の話なんてしなくなったし、「女性はこうあるべき」というテンプレートを持たなくなった。むしろ女性性を圧倒的な個性として受け入れている女装家の友人の足を撫でてしまっていたくらいだ。
きっと幼少期の私なら、逆にその女装家の友人を受け入れられなかっただろうと思う。なぜなら女性性の価値観を縛っていたように、男性性に対する価値観を縛っていたからだ。女性性というもの意識して生きるのは女性だけなくてもいいし、女性自身が多様な女性らしさをを持ってもよいのだ。
誰しもが自分の身体の変化によって性を意識する。そのひとつが体毛だ。でももし、脱毛をしようとしたときの判断基準が女性らしさを求めてのことならば、その価値観は刷り込まれたものなのかもしれない。カミソリで腕の毛を剃るとき、その習慣的な行動に一度だけ問いかけてみてもいいと思う。
「なぜ私は毛をなくしたいのか」
いまの私は答えが出ている。お客様のマッサージするときの毛のない肌触りが好きだからだ。もし、毛が生えていてもちゅるんとした肌ならそれでいい。私の肌はそうなれないから毛をなくす。むかしのように、「毛があっては女性じゃない!」なんて思わない。
こんな風に、体毛をなくしたい理由を考えてみよう。あなたはなぜ毛を体毛をなくしたいのですか?
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