そして絶頂へ
そしてイサムさんは、「では下をやって行きますので準備しますね」と囁くような声で言い、指に使い捨ての指サック(薄い指手袋のようなものだった)をハメた。
「はい」と冷静に答えつつも、内心は「いよいよ来るのね!」と、ワクドキが止まらない瞬間だった。
そのままリラックス状態で寝そべっているところから、まずは局部の外側を優しく触れられた。ゆっくりと、徐々に高まるように触れてくれて、気持ちよさを感じたとき、何をされるわけでも、言われるわけでもないのに、勝手に腰が動いてしまった。
腰が浮いた状態のときに、スッとイサムさんの指が入ってきた。
が、入れ“られた”という感覚はなく、まるで自分から迎えに行ったかのようで、どちらかというと「うっかりスルッと入っちゃった!」という感じだった。
そこからもしばらく、止まってただ入っているだけの指を感じながら自然と自分の腰が動いていき、その状態から徐々に高まってきたところで、グッと下から腰を押さえられ、中に入っていた指がゆっくりと上に押し上げられたところで絶頂に達した。
そのときにはすでに、漏れるどころかしっかりと意思表示を声に出していた状態だった。果てて、まさにイケたスッキリ感を味わったのだった。
プロのテクニックから学んだこと
ドキドキの初体験はこうして終了した。
そして着替えてゆっくり支度をして、お支払いを済ませて、笑顔のイサムさんに見送られ、満足感とともに店を後にした。
振り返ると、確かに指技というテクニックを通して「ヤることはヤッてもらった」ものの、個人的には、終始気持ちよく過ごせた空間としては、一般的なリラクゼーションサロンと何ら変わらない感覚でいられた。
リラックスできて凝った体がほぐれる利点と、オーガズムを得たことでの性欲が満たされるスッキリ感を、両方味わうことができて一石二鳥のような気がした。
行ってみてよかったと思った点は、行程・行為上で新しい発見があったこと。
いままで、どの相手との行為でも、稀に痛さを感じることがあったことから、自分はあまり指でされるのが好きじゃないのかもしれない(気持ちいいとは感じない?)…と思い込んでいたのが、入れられたときの角度や動きによって、こんなにも気持ちよくなれるのか!というのは大きな気づきだった。
イサムさん曰く、「局部に入れた状態で指を前後に動かしてしまうと、擦れから痛さの原因になったりもするので、実は入れている側は何もしないでそのままじっとしているだけでいいんです」とのこと。自然と女性が自分で腰を動かしてしまうくらいが、「気持ちいい」証拠なのだそう。
指自体は動かさずに、たまにゆっくりグッとそのまま上に押すだけで十分いいスポットにあたり、オーガズムを得やすいのだそうだ。
これは筆者にとって、自分の体についての新たな発見にもなったし、その行為に対する潜在意識や固定観念を取り払ってくれたような気がした。
「これは彼に朗報として伝えなければ!」と、その夜すぐに前のめりで話し、共有した点となったのだった。