さまざまなリスクが考えられる結婚
性的マイノリティは、人権が担保されるための十分な社会システムができていない現状で、さまざまなリスクを考えて過ごすことを強いられます。
いつになったら結婚が法制化されるか、もし法制化が不可能ならパートナーシップ制度を活用すべきか、仮に子どもがほしくても両親に親権が与えられない場合、どのようなデメリットがあるのか、同性カップルが異性愛者と同じように受け入れられないので、子どもがいじめられるかもしれないなど、懸念点がたくさん存在します。
人権が守られない社会で、ここまでのリスクを背負わなければならないことから、逆に結婚しないほうが幸せだと考えるマイノリティ当事者の人も多く存在します。
最近、日本でも晩婚化や非婚化が進んできており、自分の意思で結婚するorしないを選ぶ人は増えてきています。ですが、結婚したくてもできない人たちがいるのも事実です。
誰もが選択できるスタートラインにはまだ及ばず、マイノリティに位置付けられる人たちは“普通のカップル”になることさえ不可能とされています。
誰もが常にマイノリティとなり得る
外国籍の同性パートナーと結婚したい人で、日本で同性婚が認められないことから、海外に移住するケースもあります。
英語が話せる、同性婚が認められている国の国籍をもつパートナーがいる、海外で働ける能力をもつなど、性的マイノリティのなかにもさらなるマイノリティが存在します。
セクシュアリティの観点でいえば、私は社会的にマイノリティとして位置付けられますが、別の側面から考えるとマジョリティになり得ます。
シスジェンダー(生まれたときに割り当てられた性と性自認が一致すること)を自認する者として、性別による違和感を覚えたことはないし、日本で暮らす日本国籍を保有する者として、コロナ禍で海外に飛ばされたこともない。
このように、多くの人が常にマイノリティと特権あるマジョリティを行き来し、自分が息苦しさを感じるのと同様に、別の場面で息苦しさを感じる人たちがいることを忘れてはいけません。
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