こんにちは、椎名です。僕は身体の性が女性で心の性は定めていないセクシュアルマイノリティで、女性のパートナーと生活をともにしています。
コロナ禍で結婚式を控えるカップルが増えた影響もあってか、近年は結婚式を挙げずに親族だけの食事会やウェディングフォトだけというカップルが増えているそうです。
たしかに僕の周りでも、写真だけで済ませるカップルが珍しくなく、なかには「写真も要らない」と話すかたもいました。そんなかたと会うと、毎回僕は「写真は撮ったほうがいいよ」と話しています。
今回は僕がそう考える理由でもある、僕が彼女とウェディングフォトを撮影したときの体験や、おすすめする理由を書かせていただきたいと思います。
僕はLGBTQ+当事者なのでその視点も含みますが、きっと異性愛者のカップルにも通じる部分があると思うので、読んでいただけたら嬉しいです。
重なった、タイミング
きっかけは2015年の秋の終わり。学生時代にお世話になった先輩の結婚式に出席したことでした。
同年の秋口、僕は彼女とルームシェアを開始。結婚式が行われる直前の11月5日に渋谷区でパートナーシップ制度がはじまりました。
お互いが「いつか結婚したいのなら、男性と結婚しなければならない」とどこかでまだ考えていたのに、パートナーシップ制度のニュースを見て、「制度を利用すれば、ずっと一緒にいられるかもしれない」とふたりの未来に希望をみることができた、そんなタイミングで参加した結婚式でした。
大切な先輩の晴れ姿と幸せそうな表情を見て、思わず嬉しさで涙があふれた式の帰り道。
素敵な式だったなと余韻に浸りながらもいつのまにか僕の頭には、彼女のウェディングドレス姿を思い浮かべていました。
ルームシェア、パートナーシップ制度の開始、そして先輩の結婚式。すべてが僕たちにとってよいタイミングでそろったから、そう思えたのかもしれません。
ふたりで暮らす家に帰ると、僕は彼女のウェディングドレス姿が見たい。写真だけでもかたちとして残したいことをそのまま伝えました。
「ウェディングフォトが撮りたい」なんて、ちゃんとしたプロポーズじゃなかったのに、優しい彼女は「いいよ」と快く受け入れてくれました。
まずは、式場探し
日本で初めてのパートナーシップ制度が開始して間もなかった2015年。LGBT+当事者が国内外で結婚式やウェディングフォトを撮影した体験などが少しずつ知られ始めたばかりでした。
一部の式場などでは挙式や撮影が可能なものの、大半の式場では当事者への対応がわからないからと断られてしまうケースもまだかなりありました。少なくともいまよりはずっとサービスの体制は整っていなかったと思います。
そんななかで式場に足を運んだり、直接問い合わせをする勇気は、僕にはありませんでした。悪意からくる返答ではなくても、もし断られたらと思うとこわいものです。
調べているうちに、結婚式やウェディングフォトを撮影したいLGBT+当事者と式場やサービスを用意している企業とを繋げるサービスがあることを知りました。
そのサービスを利用し、駅から少し歩いた、静かな路面沿いの店舗でふたり並んでヒアリングをしてもらいました。
ハウススタジオでの撮影も魅力的ではありましたが、挙式の予定がないのでせっかくならとチャペルでの撮影を希望。
すでに当事者の撮影や挙式の経験がある式場をいくつか紹介してもらい、実際に足を運びチャペルの雰囲気やスタッフのかたの対応を見ながら気に入った式場を選びました。
心配していた式場での対応も、前例のある式場で予約をする際に当事者であることを知らせていたため、接客中に嫌な思いをすることはありませんでした。