元彼の“企み”が見えたとき
そう言われたとき、彼女はあまりのショックに返す言葉を失ったそうですが、気がついたのは彼から聞いていた「仲のいい女性」の存在。
「彼女が泊まりに来ているときに急に人と会うとか、そんな時間にあやしくない?さっき、会っていてもいつも誰かとLINEしているみたいって言っていたけど、あなたは彼氏といるときにそんなことをするの?」
友人が口にするのは「客観的に見ても恋人としてありえない姿」であり、「まだ我慢するのが当たり前と思っていた自分に気がついた」彼女は、はじめて彼氏への“二股疑惑”に思い至ります。
自分と一緒でもいつもスマートフォンを気にして、着信があったときなど必ずこちらに見えないように画面を隠す彼氏を思い出し、「もうひとりの気配」を感じました。
「無理。二股なんて絶対に無理」
強い口調でそう漏らす彼女に、友人は「彼のことを知っている人がいるから、聞いてみるね」と約束してくれます。
そして数日後。カフェに誘った友人から「あなたの前に付き合っていた女性がいて、その人とも同じように会っているのだって。その女性からも復縁を迫られているみたいで、『決めるのは俺だから』って言うから知り合いも引いていたよ」と、ふたりの女性を天秤にかけて交際の主導権を握ろうとする彼の姿を伝えられました。
復縁は「お願いする側が弱い」のではない
この話を聞いて、彼女は「やっと目が覚めた」と彼氏への愛情が消えていくのを実感したそうです。
「どこかで、やり直したいと言っているのは私だからって引け目があったの。彼の機嫌を損ねてはいけない、言う通りにしないといけない、我慢しなければって思っていて。私が黙って従うから、あの人も調子に乗って当然よね。でも平気で二股ができる男なんて無理よ、最低」
たぶん、その「私の前に付き合っていた女性」も同じような感じじゃないかしら、と彼女は続けます。
「そのとき思い出したのよ、以前私と別れたとき、『仕事に集中したい俺の気持ちは無視するのか』って、自分の都合しか考えていなかった彼を。結婚話を避けることについては触れないし謝らないし、いま思えば“そういう人”なのよね」
“みずからも歩み寄って幸せな関係を築く存在”ではなく、自分の思い通りにしたい気持ちを汲むのが当たり前。“そういう人”だから、二股をかけることも罪悪感はなく、「上から目線」の自分に違和感がない。
改めて見えた彼の本性に「ふざけないでほしいわ。復縁したい側が弱いなんて、おかしいでしょう。こんな男と結婚しなくてよかったって、いまつくづく思うわ」と、彼女は吐き捨てるように言いました。