こんにちは。韓国在住歴4年、日本語教師でライターのHAZUKIです。Webメディア「by them」で、韓国の今を切り取り、生の情報をお届けしています。
みなさん、韓国がいま抱えている社会問題についてはご存じですか?韓国はここ数十年で急成長を遂げた国だけあって、世代間のギャップや国民の意識レベルに社会システムが追いついていないなどいろいろな問題があります。
最近筆者が日本語を教えている生徒から「韓国と日本は10年の差がある」と聞きました。この「10年」というのは社会問題や社会現象のことです。
日本は第二次世界大戦後、高度経済成長を経て先進国になりました。韓国は第二次世界大戦後、1950年に6.25戦争(北朝鮮と韓国の戦争で、日本では朝鮮戦争と呼んでいますね。この戦争で本当に大勢のかたが亡くなりました)を経験。すべてを失ったあとに国が復興したので、日本と時期的にも差があるんですね。
日本も韓国も戦争のあとに急成長したのは同じ。復興するのが日本が先だったことから、日本で起きている社会現象や社会問題は後から同じように韓国でも起きると話してくれました。
しかし、少子高齢化問題に関しては韓国のほうが深刻だと言えると思います。なぜ日本より韓国の方が少子高齢化が深刻なのか…今回はそれについてお話しします。
なぜ韓国は急激に少子化が進んでいるの?
世界の先進国が共通して抱えている少子化問題ですが、韓国の少子化はほかの国にくらべて急激に進みました。
世界銀行によると、2021年の韓国の合計特殊出生率(一人の女性が一生のうちに出産するこどもの平均数、15歳から49歳に限定)は0.81でした。
いままでの減り方を見ると、今年2022年には0.7台に突入することが予想されています。韓国語で「合計特殊出生率」と調べてみると、「このままいけば韓国は消えてしまう」という記事が出てくるまで深刻な状況です。
昔から少子化問題を抱えていた日本ですが、それでも2021年の合計特殊出生率は1.33です。
韓国の少子化がここまで進んだのは、やはり「教育費」の問題でしょう。韓国は2022年、小学生、中学生の私教育の合計が23兆ウォン(約2兆円)という調査結果が出ました。(参考:聯合ニュース)
あくまでの平均ですが、小学生の一人当たりのひと月の私教育費は32万ウォン(約3万円)だそうです。
「あれ?意外と普通?」と思い、この記事について生徒さんに話したことがありますが、「そんな金額じゃ何もできない」「普通はもっと高い」と話していました。
筆者が教えている単身赴任中の生徒の話では、2人のお子さんの塾代は20万円だそうです。この生徒はかなり教育熱心ですが、「いい大学に送るためにはこれぐらいは普通だ」と話していました。
「子どもにいい教育を与えるためには、親がいい仕事をしなくてはならない」「子どもにいい教育を与えられないなら、いっそ子どもを持つのを諦めよう」と考えている若い人がかなり多いです。
いまの韓国大統領、ユンさんも「子どもの私教育問題解決に取り組む」と話していましたが、具体策はまだ出ていません。
それぞれの自治体が子育て支援やシステム作りに力を入れていますが、「これがあるから子どもを持とう」と思えるようなシステムはまだありません。
そもそもなぜこんなにも教育費が必要なのかというと、韓国は以前から学歴社会と言われ、根深い問題となっているから。
学歴を得るために1人あたりに高額な教育費がかかるとなると、子どもを複数人持つことは難しいでしょう。実際に生徒たちの話を聞くと、やはりこれにより少子化が進んでいると言えそうです。
最近の韓国の新聞を見ると、「どう頑張っても少子化は止まらないから外国から労働者を雇うべき」「AIやロボット開発にもっと力を入れて労働力を確保するべき」「お年寄りにも労働の機会を提供しよう」という風に、言い方は悪いですが、子どもを増やすことはもう諦めているように見える記事が多くなってきました。韓国の少子化問題、結構深刻です…。
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