6歳差の姉弟を育てるママライター、EMIです。アルツハイマー型認知症の母との過ごし方についてコラムを執筆しています。
母がアルツハイマー型認知症だとわかってから5年が経ち、現在は要介護2。サービス付き高齢者住宅に入居し、介護サービスを受けながら生活をしています。
ある日突然始まるかもしれない親の介護。「まだまだ、自分の親は元気だろう」と思って過ごしている方も、いつふりかかってくるかわかりません。
私も、突然親の介護が始まりました。しかも、30代で。子育て真っ最中。仕事もしているし、やりたいこともたくさんある。
最初は、正直「なんでこんなときに…」と思うこともありました。しかし、親の介護を早くから経験したことによって、学んだことがあります。
それは、自分を犠牲にしないこと。自分の人生を軸に考えることです。
親の介護は大変なことも多いのですが、これからの自分の人生について見つめ直すきっかけになります。
今回は、「親の介護」との関わり方について私の経験をふまえて、お伝えします。
親の近くで介護をすることが本当に親孝行なのか?
日本人には、「親の介護でそばにいることが親孝行」という考えが深く根づいていているように感じます。
実際に親の介護が必要になったとき、自分のライフスタイルを変えて介護をする人は、多いかと思います。
なかには、仕事を辞めて家族の介護に専念する人もいるでしょう。
はたして、本当に「親のそばで介護すること」がお互いにとって幸せなことなのでしょうか?
親孝行な介護=親の側にいること。実はこの考えが介護を苦しいものだと感じる原因ではないかと、『親不孝介護(著:山中 浩之/著:川内 潤 )』を読んで、考えはじめました。
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- 親不孝介護(著:山中 浩之/著:川内 潤 )
この本には、親と適切な距離をとることで、介護がグッと楽になるという内容が書かれていました。
子どもにとって親は、年老いてもいつまでも立派にいてほしいもの。
介護のために親との距離を近くすると、嫌でも日々衰えていく親の姿やふるまいが目に入ります。
そして、その姿にだんだんと不安や怒りを我慢できなくなり、最悪な場合、虐待につながってしまう可能性もあるのです。
親孝行どころか、お互いが不幸になってしまう…。だから、ある程度距離をとることが重要だと。
この経験は、私も体験したことがあるので、「たしかにそうだな…」と納得しました。
親にも親の「生き方」がある
一時期、山梨にいた母を東京に呼び寄せて、一緒に生活していた時期があります。
母と生活を共にするにつれて、だんだんと認知症による母の言動が気になり始めました。
毎日のように「なんですぐ忘れるの!?何回同じこと言えば気が済むの!?」と怒りがわき、母に対してキツイ言動をしてしまうことが多くなって。そして母に対して「ひどいことを言ってしまった」と自己嫌悪に陥り、自分を責めることに…。
悪夢のようなスパイラルに陥ってしまったのを覚えています。
母のために東京に呼び寄せたつもりなのに、一緒に生活することでお互いを苦しめる状況になってしまったのです。
そして、もしかしたら、母は「山梨にいたほうが幸せだったのかもしれない」と考えるようになりました。
子どもは「自分が安心するために親の生活を管理しようとしがち」です。
私には私の生き方があるように、親にも親の生き方がある。
だとしたら母を東京へ呼び寄せるよりも、あらゆるサービスを利用していろんな人の手を借りながらでも、住み慣れた山梨で自分の好きなことをやれているほうが母にとっては幸せだったのかもしれないといまになって考えています。
親は1人の尊重すべき個人であり、大切に接することが本当の親孝行ではないかと考えさせられました。
介護が始まる前に、母とこれからどのような生活を望むのか、もっと話し合うべきだったのかもしれません。
その後、後ろめたさはありましたが、母を高齢者住宅に入居させ、距離を保つことでいまではだいぶ気持ちが楽になりました。
そして、お互いの関係も一緒に暮らしていたときよりよくなったように感じます。