「新しい関係を手にする」決意
「離婚のとき元夫や姑たちにコテンパンに言われていた私はまだ落ち込むときもあって、彼と同じようにふたりの関係を積極的に進めるような気持ちにはなれませんでした。
それでも、彼の言葉ですよね、『自分の人生に責任を持つ』のが当たり前なのだと思ったら、自分にできるのは誠実に彼と向き合うことだけだと、それだけは考えていました。友達には大げさって笑われるのですが、『この人を絶対に大事にするぞ』って決意だけはあって」
ふたりの関係がどうなろうとも、自信を与えてくれた大切な人と真摯に向き合いたい。仕事や会合で忙しいなか、ミサトさんは彼との時間だけは常に気持ちを切り替えて楽しく過ごすようにしていたそうです。
「デートの約束をするのですが、食事が割り勘とか高いプレゼントができないとか、何も言わないけれど彼が気にしているのは気づいていました。どうでもいいのですけどね、そんなことは。それもはっきり伝えたし、自分が楽をするためにあなたといたいわけじゃない、と何回か言いました」
そんなミサトさんへの壁が消えたのは、ふと伝えていたミサトさんの誕生日の夜、彼が誘ってくれていた居酒屋の個室で「付き合ってほしい」と言われたときでした。
「いまも覚えているのですが、『こんな気持ちになったのは離婚してから初めて』とはっきり言ってくれて、彼なりに考えてくれていたのだと思いました。彼には抱えている事情があって、誰かと付き合うなんて決意が難しいのはわかっていたし、それでも私を選んでくれたのだと思ったら、改めてこの人のことが大好きだと感じました」
新しい関係を手にすることへの不安は、離婚後はさらに強くなる人が多いもの。
それは人を大切にしたい意識があるからで、安易に関係を始めない誠実さがふたりの共通点であり、時間をかけて信頼を育てていけたのがよかったと感じます。
離婚は当事者の問題であり、世間がどうであれその選択に胸を張れるのが一番ですが、背中を押してくれる人の存在は本当にありがたいのだとしみじみ思います。
ふたりはいまも幸せなお付き合いを続けていますが、それぞれの事情を素直に打ち明けること、そして理解する姿勢が、より強い心の結びつきとなります。
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