マイペースな息子を、のんびり過ごせる環境で育てたい
わたし自身は田舎育ちで、小学校はぼーっと遊んで過ごし「私立中学」という選択肢もなく、荒れた地元の公立中学に行き、地元の公立高校に行って大学進学したので、中学受験なんて存在も知りません。
むかし、中学受験というキーワードが気になり、ちょこっと調べたことがありましたが、そのときの印象は、中学受験って「教育熱心なごく一部のママが趣味でやるもの」というイメージでした。
わたしの住む町は新興住宅地で教育熱が高めと聞いていましたが、小学校1年生くらいからすでに塾に通わせてる人を見ると「あんな小さいころから勉強なんてかわいそうねぇ」と思っていたし、子どもは自由にのびのび育てたいと思っていたので、まさか自分が中学受験について調べることになるとは思ってもみませんでした。
そして中学受験は、調べれば調べるほど大変そうなことばかり。
私立中学に行かせたママに受験体験談を聞くと口をそろえて「涙なしには語れないほど大変だった!」と言うし、「中学受験は親の受験!」というほど親のサポートが必要で、勉強のサポートや時間管理、体調管理、送迎、弁当作り…と、もう敏腕マネージャーのようなマネジメント能力が親に必要だと聞いていたし、とにかく他人の世話が苦手で(世話されるのが好き)朝食が梅干しごはんだったり土日は朝寝坊して朝昼兼用ブランチな私にはとうてい無理だと感じました。
そもそも家で勉強すること自体が無理な息子が、受験の塾に通ってハードな勉強をできる気もしないし、強制されるのが嫌い・知らない場所が大嫌いな息子を、未知の中学受験という世界に入れていいものかと、かなり悩みました。
「教育虐待」や「子どもがつぶれる」など怖いキーワードも何度も目にして、この子を潰してしまわないか不安でしたし、すごく調べてすごく悩んでいました。それほど、未知の世界すぎたのです。
だけど、地域の公立の中学とは違い、私立中学は学校によって校風も違い、教育方針もそれぞれ違うので、子どもに合うところがあればとてもよい雰囲気のなかで過ごせるかもしれないという魅力も感じました。
勉強しない息子という現実、自由に育てたいけれど、圧倒的不利になるとわかっている高校受験に進ませるのもそれはそれで大変そう。しかもいじられやすいキャラの息子が、公立で揉まれて楽しめるかどうかも気になるところでした。
悩みに悩んで中学受験の方向に進ませてみようと思った決め手は「マイペースな息子を、のんびり過ごせる環境で育てたい」という気持ちからでした。
そこに至るまでのことや、実際にマイペースな息子がどんな中学受験を経験したかというお話については、今後順を追ってお伝えできればと思いますが、わたしは「逃げの中学受験」という選択は、うちの子にとってはよい選択だったかなと思っています。
中学受験の多くは、よりハイレベルな進学先を目指して研鑽していくようなものだとは思いますが、「高校受験を回避したい」「子どもの環境を整えたい」という意味で中学受験を選択するという人もいるにはいます。
それでも思ったよりハードで大変な面もありましたが、塾や友達などよい縁があったことで、マイペース息子はハードながらも楽しく受験を終えることができました。
たまたまよい塾に出会えたこと、よい先生や友達に恵まれたことも息子の中学受験がよい経験になったひとつの大きな要因でもあり、たとえ逃げのマイペースな中学受験を目指しても、必ずしもそれが成功するとは限りません。
ですが、高校受験回避のための「逃げの中学受験」や、「子どもの環境を買う」という意味の中学受験も、選択肢として「ある」ということを知ってもらうことで、同じようなマイペース息子を持つママに、子育てのひとつの選択肢が増えればいいなぁと思っています。
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